Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。

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img黒執事 1 (1) (Gファンタジーコミックス) /枢 やな (著)

 先日ちょこっと書いておいた「気になるコミック」がこれです。
 一目瞭然ゴシック調のデザインなのでその手のものが好きな人にとっては、間違いなく興味を引くはず。本屋で見かけた時はキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!.......と心の中で叫んだのは言うまでもありません。

 あいにくビニルで封がしてあったので立ち読み出来ず帰ってからアマゾンで検索..........レビューがいくつもあってまだ2巻足らずなのに密かな人気があるのかと期待しつつレビューを読んでみると....................、あまり良くない。も、もしかして「地雷」なのかな......? 作者には悪いですが、ちょっと躊躇してしまいます。絵柄は間違いなくツボなので、「表紙買い」でも構わないくらいです。

 ストーリーがいまいちだとかレビューにあるようですが、一体、どんな内容なのかな........。四の五の言わずに今すぐ買ってこいっって感じですが。w


 
 黒執事..........いつもの自動妄想モードがスイッチオンしてしまい、いろんなシチュエーションが浮かんでしまいました。以下、電波妄想脳内シアター。スルーして下さい。

 

お嬢:これから私、新しいコト始めようと思ってるんだけど、それには必要なものがあって。これ、お願いね。(お嬢、メモを渡す)
執事:さすが才色兼備なお嬢様。さっそくご用意しましょう。(メモを見る。と同時にお嬢、部屋を出る)
執事:........なになに、hotoshopとIkkustrator..。ホトショップとイカストレーター? さて一体何のことでございましょう。はっ!まさか.....お嬢様。 ホトってアレのことですかもしかして。.....なんていやらしい。一体何屋なんですか! となるとイカストレーターの方は一体....。ん、もしやスペルミス? イカストレーダーなのではっ。イカすトレーダーのことでございますね。ホトショップとイカストレーダー、なるほどつまり手練手管に長けた(人身売買専門の)トレーダーを見つけて秘密裏に女郎屋を経営して一儲けしようという話でございますな。さすがはお嬢様。さっそく手配いたしましょう。

数ヶ月後........
お嬢:すっかり忙しくて忘れていたけど、例の件、用意してくれた? 
執事:もちろんでございます。順調でございますよ。安く買い付ける事が出来るとのことで、今からトレーダーと打ち合わせをしに出かけるところです。夕方には帰って参りますのでそれでは失礼いたします。(執事、玄関から出て行こうとする)
(ピンポーン♪)
執事、お嬢:どなた?
警察:警察ですが、違法な風俗店を経営..........タイ━||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||━ホ!!!!!
執事:やばい、バレたか!お嬢様、裏の隠し扉からお逃げを! 私はここで食い止めます! さ、急いで!!!
お嬢:なに? 風俗店って!? なになになに? 違法な経営??? 一体なんなのよ〜〜〜

あれから数ヶ月後
執事:まったくお嬢様っ、あんな簡単な単語を間違えるとは.........わたくしは悲しいです。PhotoshopとIllustratorだったなんて........。
お嬢:(おめーも単語知らなかったじゃねーかっ)バカっ! お前のせいで私はお尋ね者に.........。どーしてくれんのよ!  逃亡資金も底をつきそうなのに。
執事:そこはご安心くださいませ。わたくしに策がございます。今度こそは失敗いたしません。
お嬢:..........う〜〜〜ん.........今度こそしくじったら東京湾の冷たい海の中だからねっ!
執事:間違ってもそんなことは決して。それではさっそく。

執事:あの女は逃亡の足枷になるな.....。悪いがここで置いてけぼりだ。.....あんなアホギャルな奴に傅いていてはオレまでバカになってしまう。もっと有能な人間に召し抱えられた方が得策だ。ったく、おまけにオレまでお尋ね者に。氏素性を偽るしか無いな。


数週間後
伯爵:まだ間もないがなかなかの仕事ぶり。嬉しいぞ。..........ところでそんなお前の働きぶりからぜひ頼みたいことがあるのだか.......。

執事:有能な主人に抱えられたのはいいが、こんな頼み事をするなんて........案外だらしないな。妻の浮気現場を押さえてくれだなんて。そういえばまだ奥さんにまだ会ってなかったが、若いな。(と写真を見る) なかなかやるなあの侯爵。しかし現場を押さえるのは難しいぜ。よし、この小型カメラ内蔵ネクタイでさらりと撮ってやるぜ、ふふ。

とあるホテルの前
執事:なんとかバレずに尾行してきたが、案の定ってわけか。同伴でないってことは待ち合わせか?  用心深いな.....部屋までは難しいな。かといって出来なければ執事役もクビだしな。........そうだ、浮気相手はこのオレがやろう。どうせクビになるなら浮気相手になってやるぜ! おっ、いいアイデアが浮かんだぞ。さすがオレ。さっそく実行に映すぞ。

数日後
(繁華街で伯爵夫人を尾行)
執事と雇ったTVクルー:すみませーんっ、いまちょっとしたアンケートをやっていまして……。あ、もちろん謝礼も出しますので! すぐそばにクルマを停めててそこでお願いしてます。
(やった〜、ノコノコ付いてきやがって。クルマに入れちまえばこっちのもの)

以下数十行、都合により割愛

伯爵夫人:よ、よくも嵌めましたねっっ
執事:まあ確かに色んな意味でハメたが........。この期に及んでまだ貴婦人振るとは。とにかく.....このハメ撮り、どうしようかな。
伯爵夫人:(旦那にバレたらやっとの思いで玉の輿になった努力が水の泡......) い、いくらよ?
執事:よくお判りで。ではこの辺で手を打ちましょう。
伯爵夫人:(つけこみやがって.....こんな大金なんて...........)わ、わかったわよ、その代わりそのカメラよこしてよね。(金を渡す)
執事:もちろんですとも。まああんたとはもうこれっきりだから安心しな。(カメラを渡す)

執事:今回はオンナがアホで助かった。その場で密にデータをコピーしていた事に気付かないなんて。これであの家とはおさらばだな。オレの普段の喋り方とは違うし、まあオレの声だけ加工しておけばバレないだろう。あとは顔さえ写らないように撮れば大丈夫。おまけにこれをネットで売りさばこう。この手口は結構いけるな。一儲けさせてもらおう。

半年後
執事:ふふふ、短期間でけっこういけたな。まあ最近は逆ナンばっかだけど。ホスト上がりのイケメン執事だからな。人にかしずく執事はやりたくないが金があり人脈に長けた家が多いからな。あとは芋づる式だよな。
(ピンポーン♪)
執事:だれ?
警察:警察のものですが.........
執事:((((゚д゚)))))(なに警察だと? 氏素性はしっかり隠したし偽名だ。前の件ではないはず。)......な、何の「誤」用でしょうか。
警察:ポルノ禁止法違反容疑で...........タイ━||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||━ホ!!!!!
執事:( ゚Д゚)ポカーン そ、そういえば、自分の編集ばっかりでモザ掛けとくのをすっかり忘れてたっっ。くそっ、奥の窓から屋根伝いに脱出!


半年後
元執事:もう執事役は飽き飽きだ。オレにはやっぱり前の仕事が似合うな。そんなわけで今はバーテンダーだ。今宵も幻想なひとときを召し上がっていただこう。このカクテルを飲むと不思議な体験が出来ると言う噂でもっぱら評判がよくなってきた。時空や世界を変える事は私の手にかかればいともたやすい。さあ、極彩色の世界へ。(というか倉橋由美子「よもつひらさか往還」ネタからだけど)
客:ごくごく。.......................。
元執事:さっそく旅立たれましたね。蠱惑な世界を味わってもらいましょう。

3時間後
客:....................。
元執事:今日は覚醒るのが遅いな。
客:wwwヘ√レvvwwwヘ√レvv─────ピーッ。
元執事:((((゚д゚))))) あれ..........も、もしかして...........ぴしぴし(客のほおを叩く) .................し、死んでる! 売人から買ったこのクスリ.....安いっつうから昨日買ったものだけど........ヤバいやつだったのか? くそ、本日は閉店だぜ。明日も開かないけど。

タイ━||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||━ホ!!!!!


 そんなブラックリストに載ってしまう..........すなわち黒執事。なんかそんなイメージがちょっと浮かんでしまいました。「黒執事」の作者とファンの皆様、ごめんなさい。一切関係ありません。脳内シアターだから。

 しかしレビューを見ると、何でも有りでストーリーもないようでは、意外にこんなしょうもない展開だったりして..........。真面目に考えると、闇の世界(魔界でもよし)と通じていて、その執事が関わると、摩訶不思議な出来事が起きる......みたいな。ゴシックホラーロマンスみたいな。おまけにミステリー要素も含ませて。執事と言えば目立たない立場でありながら、実は話のカギを握る、闇の立役者。そんな黒執事.....というか闇執事をキボン。


(2007/9)

† 22:12 | コメント (7) | トラックバック | Topへ▲ †

 作品からその作者の人柄を窺い知ることができそうですよね。

どうしたって作者の嗜好や思想が表れてしまうものです。例えばコミックで作品内のキャラが喋るセリフは、当たり前ですがその作者が考えたセリフです。ストーリーの流れでの会話によるセリフならばそうでもないかもしれませんが、キャラがある話題/事柄について考えて話す........みたいなのだと、大抵はその作者の思想なのでしょう?  

 もちろんそうだとしても、作者の腹話術のように感じない、自然なものもあります。意図的なものを除いて自然に感じるそういうのは、主観的な感想ですが作品自体の出来が良いのではないかと思います。

 個人的に、いろいろキャラが喋っている割には、作者の腹話術を感じなかったものは.......コミックでは、「東京大学物語」とか......「スクールランブル」もそういえばあんまり感じなかったかも。「東京〜」の主人公の村上直樹は、ある意味、作者の江川達也の思想とは真逆の立場で、ある種の典型的な人格の集合のような面を持ち合わせた人間なので、そう感じたのかもしれません。あれほどぐだぐだ喋っている割には、ほんとう自然でした。「スクラン」は.....シリアスなセリフは内容上、「ネタ」で喋らせているものだと思って往いたのでそう感じたのかもしれません。まあある意味「東京〜」も壮大なネタだったとも言えますが。(かなりネタバレですが) 他に読んだことのあるのだと..........「3×3EYES」なんかもそうかな。


 それに反して、作者そのものだなあと感じたものと言えば.........「こち亀」かな.........。流行りものとかに両さんが飛びついてあれこれ評論したり、社会について何か物言いするのって、まさに作者本人の言葉って気がします。おおむね同意なのが多いので嫌いではありませんが。嫌い.....というか自分とは違うかな.......って感じるのが、「ホリック」。絵や内容の要素は大好きですが、そこの部分がどうも好きになれません。以前、NHkの「トップランナー」にクランプが出ていましたが、あれを見ていて何となく納得しました。........まあコミックのストーリーにもちょっと無理がある部分のせいもあるのかもしれませんが。


 以前、本のレビューで、作者の引っ張る運命の糸が見えてしまうのは興醒めである....と書きましたが、コミックにおいても同様に言えそうですね。


 そんな話はその辺にして.........そういう作品から作者の嗜好が読み取れそうなものがあるわけです。
最近読んだものの中で気になったものがあって..........全然大したことじゃないのですが以前紹介した「少女セクト」でして、ポール・アンカ「ダイアナ」とフェンダー・ハイウェイ1の名が出ていたんです。
この「少女セクト」1、2巻を買ったはいいものの、実を言うと殆ど読んでません。1巻の初めくらいで読み止めてそのまま放置気味。たまたまもう少し読んでみようかな...と思ってパラパラめくっていたら、1巻の巻末の2巻の予告に「〜フェンダー・ハイウェイ1が轟き〜」なんて書かれていたので、気になってその部分を探したら、ポール・アンカの「ダイアナ」を弾く......とかいう部分が。

 フェンダー・ハイウェイ1っていうのは、予想通り、ギターメーカーのフェンダー(USA)。ラインナップの中でもやや低価格のシリーズで、ギターかと思っていたらベースでした。こんな固有名詞をなんで使うのかちょっとよく分かりません ストラトとかレスポールとかなら分かる気もするけど、敢えて現行ラインナップの商品名を書くってのも.......ねえ。別に有名なシリーズでも何でもないのに。作者本人が持ってそう....なんて邪推してしまいます。

 それはともかく、ポール・アンカってのも...........。このコミックの読者の中で果してポール・アンカの名前を知っている人がどれだけいるか..........。1950年末から60年代にかけて活躍したミュージシャンなのですが.........。もう殆ど過去の人...でしょう? と思いきや調べてみたら去年辺りにカバーアルバムを出してました。でも活躍していたのはその当時ですよね。 う〜ん、なんか作者って意外に年喰ってそうな気もするけど、若い様な気も。仮に若かったとしてもそこでポール・アンカの名前を出すところが.....う〜ん。
 例えば、女子高生が、ギターやベースを持っているのは別に普通にありえることでしょう。でも、そこで弾こうとするのがポール・アンカってところに違和感を感じてしまいます。たまたま作者のサイトを見つけてBBSを見てみたら、同じ様なことを質問している書き込みに対して作者がレスをしていましたが、その曲の歌詞に意味があったそうです。でも........、ポール・アンカを知っている女子校生がどれだけいるかってことです。他にも、パワーブック(アップルのノートパソコン)を愛用している別のキャラは、スティーヴ・ジョブス(アップルCEO)を尊敬している....という設定になっています。.........これはありえなくもないけど、そういうのは「ちょっと違うかな」って感じました。

 ともかく、その「少女セクト」では、登場人物の設定が細かいのですよ。ところどころにそういう紹介ページがあって、事細かに性格や嗜好なんかが書かれています。........これは個人的感想なのかもしれませんが、そういうのがいかにも「おたく」っぽい気がしてしまって、好きになれません。もちろんそういう諸設定があるのが好きな人もいるのでしょうが、少なくとも自分にはちょっと.....。内容が内容ってのもあるんだけど。1話ごとに必ず絡みを入れなければいけないのだから、いちいち諸設定を話の中で登場させる余裕がないのかもしれません。

 実社会における様々な人物やモノを引用することによってリアルさを出しているのかもしれませんが、作者の博識さ故に、キャラに不自然さが表れているように思えます。申し訳ないですが、博識なおたく.....そういうイメージにしか思えなくて。築き上げた機械仕掛けの妄想世界で、人形を踊らせているかのような..........そういう風に見えてしまいました。

 でも作者が多方面に詳しそうなのは確か。ちょっと羨ましい気もしますが...........いややっぱり憧れるのはやめておこう。でも、1巻の表紙絵だけはきっちり技を盗むぞっ!


(2006/10)

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ちょうど1年前に書いてあった下書きです。
他にもいくつか残っているので近いうちに公開しておこうと思います。

† 22:34 | トラックバック | Topへ▲ †

NHKアーカイブス NHK映像ファイル あの人に会いたい:谷崎潤一郎


 あ〜〜〜〜、録っておけて良かった!!!
昨日の夕方、何気なく2chの谷崎潤一郎のスレをチェックしたら番組の情報が書き込まれていました。あわてて番組表をチェック。たった10分間ですが谷崎のコメントと映像が拝めることが何より貴重で、録っておきました。

 映像に映っている谷崎は晩年の頃で、新潮文庫に載っている写真のと比べるとそれよりも後年らしく、ちょっと受ける印象が違いましたが、谷崎のコメントを聞いていて、やっぱり「谷崎らしい」なと感じました。機嫌が良いのかそれとも元々そういう性格なのか、ずいぶん朗らかで笑みを絶やさない受け答えでした。「陰影礼賛」なんかを読んでみると、年を取ってからは来客嫌いらしかったので、もっと口数が少なくて重みのあるような感じなのではと勝手に想像していましたが実際は違いました。番組内でも大きく映りましたが、すこし見下ろした目線で見据える様な...あの写真!......いかにも文豪っぽい表情とは違っていました。

 10分という短い間の中で、さらっと谷崎の人生と著作品名を紹介し、リンク先の説明文にもある通り、女性のおしゃれに関する興味や、老人の性欲について話していました。若い頃のイケメンな谷崎の写真、後に結婚することとなる松子夫人へ宛てた恋文、松子夫人による、谷崎が戦時中、細雪の原稿を持って防空壕へ他の人に遅れて一番最後に入った旨を話した映像もありました。


 谷崎潤一郎の人生を調べると、なんとなく.....ピカソやルーベンスといった画家との共通点を見出します。特にピカソとの共通点。ともに何度も結婚していますしその度に作風が変わっています。そして長生きをした。ルーベンスは妻を亡くした後すぐに(そのとき53歳)別の女性を結婚したのですが、まあすごいのがその女性の年齢。わずか16歳。今だったら半ば犯罪ものです。w その時のコメントもすごい。「まだまだ厳格な禁欲生活を通すつもりはないので....」とのこと。ルーベンスは画家の側ら外交官なども務め多才で、多数の弟子を持ち大規模なアトリエを構え裕福な暮らしが出来たと言います。画家には貧乏が付きものなのですが彼にはとうてい無縁でした。谷崎もたくさんの女中を抱え贅沢な暮らしをしていたと言います。そして常に妻の存在があった。

 やはり欲は必要なのだと思います。挙げた人達はみな死ぬまで創作しつづけました。谷崎の場合、書痙で文字が書けなくなっても口述で代筆させて作品を発表しつづけました。枯れる事の無いエネルギーがどこから漲るのか。そのひとつに今回の番組での谷崎の至言「いつも女性には興味を持っている」に表れている気もします。

† 21:39 | トラックバック | Topへ▲ †

 最近は本を買うのは専らアマゾンなので本屋なんかへは普段行かないのですが、久しぶりに行ってみました。

 平積みされていたコミックを見てみると、その中でも大きなスペースをとって並べられていたのが、「のだめカンタービレ」と「デスノート」でした。

 ................実を言うと、どちらも前々から気になっていたコミックです。前にレビューした「さくらん」同様、アマゾンのカートの中に2年以上前から放り込んでそのままのコミックです。カート内の商品が90日は記憶されてるらしく、その間ならば必ず一度はアマゾンのサイトを見ているので消える心配も無いので、(アマゾンを利用したことがあればわかると思いますがショッピングカート内ではなくて単にカートの中に入っている方)カート内にはすごい数の(ほとんど本)商品が詰まっています。
 最近になって気づいたのですが、それって「ウィッシュリスト」に入れておけばいいんですね。うぅ....長く利用しているくせに知るのが遅すぎました。


 「のだめカンタービレ」は、確か音大マンガですよね。音楽マンガっていうかバンドマンガとか呼ばれる物は今までにいろいろ出ていますが、「音大マンガ」っていうのは珍しかったし、とりあげられる音楽だってきっとクラシックだろうし(ちなみにカンタービレってヴィヴァルディに同じ曲ありますよね?確か。 )、それもいいかなと思っていました。今ではけっこう有名になってしまいましたね。ドラマ化するとかいうし。ちょっと流行りを逃した様で悔しいかも。w  本屋でPOPが組まれていて結構な見栄えで紹介されていました。音楽マンガっていうと、「BECK」とかも読んでみたいな〜と思い続けていたら、いつのまにかアニメもやってそれも終わってほとぼりも冷めて、乗り遅れました。w  「NANA」も気になるけど、さすがにね.........。買ってダメってことはないだろうけど........。


 デスノ(ですの....じゃ白雪だ!w....しかもいつの話だw)は、ゴシックっぽいコミックだなあとカバー見てすぐピンときました。他にゴシックっぽいと感じたコミックは、「ヘルシング」と「こぐまレンサ」....かな。「こぐまレンサ」は3巻くらいで終わっちゃってるみたいですが、フランスのユリの紋章をあしらったカバーだったりしたのでおもわずカートに放り込んだり(といっても買ったわけではありません)。「ヘルシング」はヴァンパイアが主人公でしたよね? アルカード=Alucard→Dracula...つまりドラキュラのアナグラム。別にアルカードという名前はこのマンガのみならず、「ドラキュラのアナグラム」として他の作品でも色々取り上げられていますね。なんんか..シンボルマークがうちのサイトの十字架(ふちどりした十字架)と似ていてびっくり..........。というかちょっと複雑です(パクってるとか思われそうで使い始めたのはこっちが先だぞっ)。

 デスノも今更.....って感じもなきにしもあらずなので、なんか......ねえ。でもカバーの背景や雰囲気はかなり好きです。ただ....キャラの感じが.......何だか好きになれません。雰囲気は重厚でダークな感じでいかにも!って感じで良いのですが。あんまり関係無いけど、ちょっとまえに作画担当の方がナイフ持ってたとかで警察のお世話になってたような........。なんかそういうのも知ってしまうと....ね。本屋では、となりの「のだめ〜」よりも大きなスペースで派手に飾られていました。なんか画集(?)っぽいのとかボックス仕様のとかもあったかな。のだめの方もクラシックのスコアにCDとか近年ではもはや定番のメディアミックス化されていて豪勢でした。デスノはカバーや装丁などのパッケージがいい感じなんですよね。手に入れる価値がありそうな気もするけど.........肝心の中身が好きになれないと....どうも.................。


 う〜ん..............思い切って大人買い....する? アマゾンでは洋書のデスノも売っていますね。台詞などが英語になっているので、英語の勉強に良いかも? 


 そうすると部屋が本で埋まってしまう................。
コナンはちっとも終わらないまま50巻突破してるし、スクランも意外に続いているし......まあ、既に完結している「3×3EYS」「東京大学物語」が一番幅とってるんだけど.......。コミック以外だとまず音楽とデザイン関係の本がものすごいし......。スコアに画集に資料に雑誌と.........最近は文庫本が幅を利かせてきているし........そっちの問題をクリアしないと。しかし捨てられない。(;∀;)


(2006/10)

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内容からわかると思いますが、かなり前に書いておいた雑記です。
 結局どちらとも未だに買っていなかったりします。
昨日、またもや同じ様なシチュエーションで本屋にて気になるコミックを見つけました。
その話はまた後で。

† 00:59 | トラックバック | Topへ▲ †

 たぶん1ヶ月に1度は少なくとも漁ってる、アマゾン。
本のみならずいろいろな方面で大量に扱っているので、何かといろいろまとめて買ってしまいます。
アマゾンでまさかアレを売り出すとは思ってなかったよー。(←何だそれは)


 そんなアマゾンで、最近見つけて気になっている本が2冊あります。

Gustave Moreau (ペーパーバック) /Pierre-Louis Mathieu (著), Francoise Siess (著)
Gothic Ornament And Design (Dover Pictorial Archive Series)

 どちらもまだ未発売のものです。
ゴシックのオーナメント集はこれまでにも数冊見つけましたしそのうちのいくつかは買いました。前にも書きましたが、多くの人が抱く「ゴシック」とはかけ離れたデザインです。大聖堂などのゴシック建築が好きな自分にとっても、少し的が外れた内容でしたので期待していただけにがっくりしましたが、今回のは期待できるかもしれません。タイトルにDesignが含まれているので。単にOrnamentだけだと.......家具や庭園の置物の装飾品....みたいなものが多くなってしまうので、平面のデザインには活かしにくい。でも「Design」が入ったタイトルは初めてなので、今まで見てきたものとは内容が異なるのではないかと.....そこを期待しています。それにページ数が240!!! 素材集で有名なドーバーのですし「Pictorial Archive Series」ですので、たぶん通常通りイラストばかりだと思います。なので期待大!!!


 もう1冊は画家のギュスターヴ・モロー。ファムファタルを描かせたら右に出るものはいない.....画家です。前のBunkamuraでやっていたモロー展のカタログもあるし市販の画集も持っているので、ここしばらくアマゾンで検索することはなかったのですが、アマゾン恒例のカレンダーの発売ももうしているし....モローのがあれば....と思いつつ検索していました。
 今までフェルメール、ビアズリーのカレンダーを買ってきましたが、本当はモローのが欲しいのです。欲しいのですが無いみたいなんです。モネとかゴッホとか有名どころは複数売られていますが.....。モディリアニとかロートレックのもあったかな。モディリアニは好きな画家ですが使われている絵がみな裸婦ばっかりだったので、買えなかったよ。w バルテュスほどじゃないにしてもけっこう大胆なポーズしているので.....ね。ロートレックのはポスターばかりだったので買わなかった。ロートレックは油彩画の方が断然好みです。でも買っておけばよかったかな.....。ムーランルージュの有名なポスターも使われていたし。

.........って、話を戻して、紹介したモローの本。なんで気になっているかというと、そのページ数。3000円以上もするのにたった24ページっていうのは........しかも画家の本とくれば、どう考えたってほぼすべてのページが絵に決まっているでしょう? それで24ページ。24÷2=12..............うまくいけばカレンダーにもなっていそうかな....って邪推してます。発売時期も11/1ならばあり得るし。でもそれならタイトルにCalendarとか2007とかが入るはずだし、やっぱり違うのかな....とも思っていますが、3000円で24ページだったらサイズが大きいんじゃないかなとも邪推しているので、それを期待しています。


いまからわくわくしています。
どちらも買うつもりなので買ったらレビューします。


(2006/9)

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ほとんど1年近く前に保存してありました。

買うつもりとか言っておいて何ですが、実は未だに手にしてなかったりします。
モローの方は、その後ネットで調べてみたら、フランス語での情報しか見つからなかったので詳しい事は分からないのですが、おそらく近年に見つかった未発表の絵をまとめたものだと思います。カレンダーではないですね。......深読みし過ぎでした。w そういえば今年はこれといってカレンダーは買いませんでした。めぼしいのがなかったので。

ゴシックの素材集は、「ゴシック建築」のオーナメント集ですので、個人的にはツボを押さえられた内容だと思うので、こちらはいずれ買うつもりです。.......でもまあ、かれこれ3年以上....ネットでゴシック建築の写真とあらば手当たり次第、集めまくった結果、ある程度は知っているので、それなりの内容でないと満足出来なかったりします。でもこの本はいけそうです。ピンときました。

† 00:15 | トラックバック | Topへ▲ †

 ついに我が群馬にも紀伊国屋書店が出来ました!

アピタと150の専門店けやきウォーク前橋


........という、総合ショッピングモール内に併設されています。前橋駅南口、元ダイハツの工場跡地に建てられたとか。前橋なんて久しく行っていないので、いつの間にか出来ていたなんて。でもオープンしてすぐに行ってみたのですけど。w  大型のシネコンに紀伊国屋に多数のテナント、それにアピタ(全国に展開されているかどうかわかりませんが、総合スーパーのチェーン店).......自動車工場の跡地ですから、やはり規模は大きいです。

 とりあえずどんなものか見に行ってみました。ネットで紀伊国屋のサイトを見てみると洋書なども扱っている様ですし、群馬県内でそれまで一番の蔵書を誇っていた本屋よりもだいぶ多いというので、一番の目当てでした。いざ入ってみると、1フロアながら広い。かなり細長いフロアの形をしているので、奥行きが凄い。まずそれに驚いて、これなら洋書も好きな日本の作家の本もいろいろあるかな....と期待を膨らませました。

 が.........、結果から言うと、個人的には単にたくさん本があるだけ、でした。正直言ってかなりがっかりです。まず日本の作家....たとえば谷崎潤一郎や夢野久作、樋口一葉などの作家の本が.......なんだか自分の本棚にあるものしか..........ないんです。例えばアマゾンで買える(古本などを除く)ものよりもずっと少ないんです。夢野久作は「ドグラマグラ」と「少女地獄」しかないし。絶版の多い倉橋由美子のもやっぱり代表作の「パルタイ」しかないし。..........アマゾンでは手に入らないものがこういう大きな本屋にはあるのではないかと思っていたのですが...........全然だめです。洋書のコーナーはどこかなと見つけたら、ええ〜〜っ!? たったこれだけのスペース????って感じではっきりいってオマケ程度。洋書は、美術書や有名なドーバーの素材集が目当てでしたが、そんなのはひとつもなし。そんな洋書コーナーはさっさと諦めて、他のコーナーなどもいろいろ見て回ってみました。デザイン/グラフィックスのコーナー....近所のそこそこ大きい本屋と品揃えが変わらない。美術コーナー.......モローやゴシック関係はもちろんなし。これなら西洋美術館の美術書コーナーの方がずっと充実しています。まあこれは当たり前と言われればそうかもしれませんが、しょぼ過ぎです。........自分にはとても満足出来ませんでした。

 どうしてなんだろう......。あんなにたくさん本があっても、自分が欲しい本がまるでないなんて。谷崎や夢野、倉橋.....モローだって充分有名で著作(作品)も多いのに.........なんでないんだよう。


 紀伊国屋以外の他のショップももちろん一通り寄ってみたのですが、どれもピンと来ず......。インテリアのお店が2つか3つほどありましたが、う〜んって感じだし、無印良品は群馬県には大きな店舗がなかったので、ここは比較的品揃えが良くて見てて、へ〜こんなのもあるんだ....みたいに眺めて楽しめましたが、買うつもりはないし...........。アクセサリーや服の店も.........。


 そういえば楽器屋もありました。フロアはそれほど広くありません。ところ狭しと楽器が置いてあるのですが、その日一番笑えたのがその楽器屋。壁に掛けられているギターを眺めていると、ちいさい子供が。いきなり手当たり次第にギターをべたべた触ったり弦をかき鳴らしたり、かなりやりたい放題。ギターは床に付きそうな位の低い位置にまで掛けられていたので、それらのギターがターゲットにされていました。なんかすごくギターの配置が間違っていると思うのですが、そういう低い位置にもギブソンなどの高価なギターがあるんです。で、例の子供。そういう高価なギターも....というか知ってか知らずか集中的に触りまくっていました。さすがにこれはやばい、止めなきゃと思って近づこうとしたら、店員も気付いた様で慌てて注意して(厳密には取り押さえてw)いました。子供は諦めず次のギターへターゲットを変えて行動開始。店員がその後を付いて走り回っていました。

 たぶん翌日にはギターの陳列具合が変わっていたでしょうね。..........ここだけの話、結局そういうお店ではギター等は買えない.....買いたくありません。弦とかエフェクター、小物などを買うのがちょうど良いのだと思います。フロアの大きさからいっても.....なんかそんな感じにしか思えません。無理して(?)高価なギターを所狭しと並べているのが.......ちょっと。


 というわけで、なんだかやっぱり田舎に出来るものは田舎クオリティのものなんだぞ、ということを学んだような気がしました。よくよく振り返ってみると、ああいう多数の店を集めたのって自分には向いてないんだよなあ.......。眺めるだけになってしまう。

 東京などの都会に近い地域、もしくは都内に住んでいる人が、すごく羨ましいです。都内だったら、例えば本屋だったら紀伊国屋本店、丸善、青山ブックセンター.......楽器だったらお茶の水にいけばいくらだってあるし、衣服なんてそれこそいくらだってあるはずだし。はあぁ〜('・c_・` )

 
 
 .............ちなみに、インフルエンザに罹ったのは、どうやらここへ行ったからのような気がします.........。(・ω・;)

† 00:16 | トラックバック | Topへ▲ †

アートとジャズ好きのために....「美の壷」

「美の壷」

NHKでやっている美術番組です。番組サイトを見て知りましたが、今まで「新日曜美術館」の制作に携わったスタッフが手がけた番組なのだそうですね。番組の内容は、「くらしの中の美」というテーマらしいですが、タイトルからも彷彿とさせますがどちらかというと「伝統の和の美」がメインな気がします。「壷」と「ツボ」を掛けている訳ですね。

..........まあ、いささかおっさんくさい...というか比較的年齢層が高めの気がしますが、アートが好きだったらたぶん誰でも楽しめるとお思います。それに加えて、ジャズ好きだったらそれこそ至福の時が過ごせるはずです。

 というのも、番組中流れるBGMがみなジャズばかりだからです。「枯葉」や「What's New」「My foolish Heart」「Blue Moon」「Blue Bossa」.....などのスタンダードなどがぎっしり詰まっています。ミュージシャンも、ビル・エヴァンス、マイルス、ウェス、チャーリー・パーカー、サラ・ヴォーン、オスカー・ピーターソンなどなど.....有名どころばっかり。曲が流れるたびに思わず(^∀^)ニヤリしてしまうはず。w

 再放送は3度も積極的に流しているので、好きな時に見られますし、超オススメ!  第1回からほとんど欠かさず見ています。25分間ですし、小気味良くて良いです。

 
 話は少し変わりますが..........、ここ半年間、密かに....というかモロバレですが、谷崎潤一郎がマイブームです。実は、この番組を見てても今までに数回、谷崎ネタが出ていたり.....と何気にメディアでも偶然にマイブームにリンクしていたりします。 谷崎ネタが出ていたのは......覚えている限りでは、「File26 文豪の装丁」「File24 和の明かり」「File21 蒔絵」に谷崎の「鍵」「陰影礼賛」から引用されていました。......どう考えても「陰影礼賛」を読んだ事のある、もしくは谷崎ファンが制作スタッフの中にまぎれているように思えてしまうのですが....どうなのでしょう。

 そうそう! その美の壷で使われた谷崎の写真が......何気にかっこいいんですよ! かっこいい...といっても60過ぎ位の写真だと思いますが。w 新潮文庫に使われている「狸親父w」とは違っていて、斜めに見下ろした表情がかっこいいんです.......。詳しい人なら知っているのかもしれませんが、何となくその新潮文庫の写真と連続で撮った写真の様な気がします。風貌や服装がそっくりだったので。単にポーズが違うだけなのに......やっっぱり谷崎潤一郎。


 それと、個人的には、アール・ヌーヴォーと明治期の洋館を取り上げた番組が良かった。.....金魚も良かったかな.....。
明治期の洋館では、上野の池之端にある「岩崎邸」を取り上げていました。前に行った事もある、近代建築で好きな建物の1つでしたから、嬉しかったです。


 ......というわけで、最近見たいな..と思わせる美術番組がなかったので、この「美の壷」には満足しています。

(2006/11)

 でも年が明けてから放送時間が変わってしまって、見逃すことが多くなってしまいました。。・゚・(ノД`)・゚・。 録画しておけば済む話では有りますが。

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 待ち続けてようやく電子辞書を買いました。

シャープ PW-A8410

 以前に辞書や電子辞書について書いたことがありましたが、「使えない辞書」(2003/7/12)、「でも、やっぱり」(2003/7/13)、1、2年前から本をよく読む様になってから次第に電子辞書のようなコンパクトな複合辞書が欲しくなりました。(パソコンソフトの辞書は持っていませんので)パソコンでの場合だったら「goo」などのポータルサイトにある辞書機能を使って調べたりしますが、パソコンから離れたところなどで本を読む場合などでは面倒ですし、寝る前とかに寝そべって読むこともよくあるのでやっぱり持ち運びに便利な辞書が欲しかったんです。それと複合辞書。例えば国語辞典で調べた或る言葉の類語を調べたくなった時に、今度は類語辞典を引っ張り出さなくてはいけません。難しくて読めない言葉を見つけたら今度は漢字辞典.....。本を読むのがメインなのにいつのまにか字引きで格闘していたりすることがあったりします。それが良い場合もありますが、やっぱり疲れます。


 そういうことで現在発売されているメーカーと機種を調べてみました。シャープとカシオは生活総合、セイコーは翻訳、キヤノンは学生向け......個人的な主観ですがそんな風に感じました。

 個人的になるべくだったら欲しいなと思っていた辞書があって、それは大辞林と類語辞典なのですが、その2つを収録している機種は少なく、シャープのみだったと思います。広辞苑と類語辞典のセットならば他にもあったと思いますが、個人的....くどいですが個人的には大辞林の方が好みです。本屋で辞書の引き比べを前にしたことがあるのですが、どうも見辛い...というか実用的でない気がしてしまって。それに広辞苑は改訂する度に日本語の誤用までも収録してしまっている様で、出来ればそう云うのは避けたいとも思っていたのと、普段「goo」が採用している辞書は大辞林でしたので、これに馴染んでいたし実際使い易かったので、大辞林が欲しかったのです。 それと類語辞典。紙媒体のも持っていますが、電子辞書だからこそ国語辞典との連携で類語辞典がますます活きてくると推測していたので、とにかくこの2つをメインのものが欲しかったのです。

 あとは、コンテンツ。翻訳などの機能が充実している電子辞書がありますが、自分には必要ないので要らないコンテンツです。しかし標準の様にどれにも付いてしまって、その分他のコンテンツが削られているものがシャープ以外には多い様な気がしました。辞書の役割を超えた、もっと日常に密着した知恵袋的なものが欲しかったので、コンテンツは多ければ多い程ありがたいです。人によっては必要ない人もいるでしょうが、自分には必要でした。


 そういう理由から、シャープのPW-A8400かPW-N8000に候補を絞りました。ただ、ベストではなかったんです。PW-A8400はかなり良かったのですが唯一残念だったのが、国語辞書が広辞苑だったということでした。PW-N8000はカラー液晶搭載で大辞林+類語辞典、カラー液晶を活かした百科事典を収録するなど、こちらも惹かれましたがコンテンツ数が少なくてそこが残念でした。

 別にそれでもいいかな....とも思っていたのでPW-A8400を買うことにするつもりでした。ただどうしても納得いかなかったのでもう少し調べていたのです。そうしたら、PW-A8400の発売時期が1年程前なのです。また最新の機種も3月のままでしたので(調べた時期は5月頃でした)、それ以前の発売ペースから見ると、そろそろ新機種が出るのではないかと密かに待ち望んでいました。

 そうhしたら何と自分好みの機種が発売されたではありませんか!! もう凄く嬉しいです。PW-A8400の後継的なPW-A8410という機種が6月に発売されました。PW-A8400と比べると、広辞苑が大辞林になったこと以外は収録コンテンツはそのままで、脳を活性化させるための機能がさらに充実していて、間違いなく自分にピッタリでした。価格.comで値段が下がるのを待ち続け、そろそろ底値に近づいてきたので今週買いました。値段はメーカーサイトでは47,250円なんていう高値になっていますが、実際は2万円前後かそれ以下で買える様です。ムラウチドットコムで送料/手数料込みの16,800円で買いました。(註;現在はさらに安値になっているようです。 PW-A8410 の最安価格 【価格.com】今、価格.comを見たら電子辞書 人気アイテム1位でした。(^∀^) )


 届いて早速使い始めています。面積は広めですが本体はとても薄いです。表面のアルミ削り出しの様な質感が安っぽくなくて好きです。(シルバーに続いてホワイトも出た様ですがそちらはどうだかは分かりません) 大きさは....メモ帳程度です。持ち運びに不便ということはありませんが重さは意外にあるかもしれません。コンテンツや使い勝手に関しては満足しています。脳を鍛える機能はいらないかな...なんて思っていましたが、使ってみたら面白いです。脳が鈍っていた様で、試しにやってみたら脳年齢がxxxだったのでちょうどよい機会です。

 あとは、欲を言えば7カ国語会話の部分にコンパクトでもよいから一般の言葉を収録した辞書が欲しかったです。一応単語の辞書があるのですが旅行に関係するような言葉が中心でしたので。 あとはカードスロットが付いているので、今後カードの充実を望みます。中には広辞苑の方が良いという人もいるでしょうしブランド的なものもあると思います。メインで使う辞書は好みに合わないと他のコンテンツが良くても選択肢から外れてしまうかもしれませんので、まったく同じ仕様だけど主要の辞書のみ異なる仕様、もしくは購入時に選択出来るようにできたら良いな...と思います。

 -------------ここまで2006/9/9-----------------

 .....と、使い出してから3ヶ月になりますが、相変わらず毎日使っています。大辞林も良いですが、「百科事典 マイペディア」というコンテンツがかなり良いです。1つ1つの事柄に対して詳細に説明されている上に、関連項目も豊富に載っているので、いわゆるネット上の「リンク」の様に関連項目を辿っていくと、包括的に把握することが出来るので重宝しています。歴史上の人物などは、日本史/世界史辞典の項目と重複する場合が多いのですが、百科事典の方が詳細っていうのはどうなの?w .....まあ全てにおいて重複しているわけではないから価値が全く無いわけではないですけど。カタカナで引ける英語辞典というもの良いです。思わぬ単語を見つけられたりします。「家庭の医学」も普段使うわけではないですが、これが手元にあるという事が有り難く感じます。

 なんて、とっても満足しているのですが、シャープが最近になって新製品を発表したらしいのですが、これがまた良さそうな内容で、ちょっと悔しい気がして複雑です。

PW-AT750
手描きパッドが付いて、字を書いて調べられるんですね。そうなんです....漢字辞書を使う際に、部首や画数で調べるのはちょっと面倒だったりするんですが、手描きならば一発とはいかなくてもかなり短縮されそうですよね。あと、漢字書き取りのドリルの際にも活用できますし。.....日頃、パソコンばっかりで手で文章を書かなくなっているので、漢字を忘れ易いんです。読めても書けないっていう。だから、これは良さそうです。値段が5万円超になっていますが、市場価格は2万円前後でしょうね。.........う〜ん......もうちょっと待っておけば良かったのかな....でも満足してるし、いっか。


 ちなみに.........こういう使い初めの辞書って、意外な言葉が載っているかいろいろ字引きしてみたくなってしまうんですよね。自分の場合は例えばそれが音楽関係だったりするのですが、案外載っているものですね。ジミ・ヘンドリクス、レッドツェッペリン、クリーム、ディープパープル.......。大辞林には全て載っていたけど百科事典の方には、前者2項目のみ。ただし百科事典の方は詳しく載ってておもわずにんまり。  で、お約束の(?)「ヘビーメタル」。メタル好きの人にとって憤慨するであろう説明になってます。w 

† 01:33 | トラックバック | Topへ▲ †

日本近代文芸におけるゴシック風小説−泉鏡花と谷崎潤一郎の場合−

 という記事を偶然見つけました。確か.........自サイトのログの検索キーワードに「谷崎潤一郎 ゴシック」みたいな感じのがあったので、どうして谷崎の小説がゴシックなわけ???と、まさかそんなことってあるわけないとグーグルで調べたら見つけました。


 上記のWebページを見ると、谷崎/鏡花以外にも、夢野久作、ワイルドなどの名も出てきており、それってみんな自分の好きな作家だったりします。肝心のそれらの作家の作品がなぜゴシック風小説なのか説明されているのですが...............いまいちよく分かりません。ただ、泉鏡花がゴシック風というのは以前から知っていましたし、「高野聖」や「外科質」を読んで何となくそういう雰囲気は読み取れましたし、事実アマゾンの洋書で調べてみると、泉鏡花の作品がゴシック小説として出ていますね。小泉八雲の怪談もジャパニーズゴシックホラーとして出ていたと思います。


 谷崎の初期作品は、悪魔主義とかデカダンス、マゾヒズムとは言われていたりしていたようですが、ゴシックとは言われていない....ですよね???  う〜ん........その論文の著者だけがそう思っているのかな..........。ゴシック好きの自分でさえそうは思っていなかったし。でもそう解釈されるのは嬉しいですが。w

 でもでも....リンク先を読んでみると、次の様な記述があります。

谷崎の使うゴシック風の語りは、 明らかに非常に意識的な使い方で、 多分これは鏡花よりも谷崎の方がゴシックの伝統をよく知っていたからではないかと思います。(中略)谷崎は、 一九世紀後期の西洋のゴシック作家たちを広く読んでいて、 アイデアを借りるにしても鏡花よりよほどあからさまに借りています。(中略 ) つまり、 谷崎こそ、 日本のモダニズムの基盤の一つとしてゴシックを確立した一連の作家たちの鎖の最後の輪なのです。

嬉しいことを言ってくれるではないですか!!(^∀^)


 
 ここからは個人的な解釈ですので構わないで下さい。w

 もし仮にゴシック風だったとしても多分関西へ移り住む前の、悪魔主義でいた頃の作品に限るのではないでしょうか。う〜ん....でも........移住後に書かれた「春琴抄」はどことなくゴシックぽい気がしないわけでもない.......。春琴と佐助は共に盲目になって、つまり暗黒の世界へ共に過ごすことになったわけですが、個人的に読んで感じたことは、それがふたつの魂を昇華させた....言葉で言うなら「魂合う(たまあう)」....お気に入りの言葉ですが、魂がひとつに結ばれる、心が通じ合う........という意味なのですが、まさしくそれなのだと思うのです。光を失えど、魂は共に一筋の光へと導かれた....そういう風に感じました。

 別に互いが同じ運命を辿ることがゴシックではないと思いますが、鏡花の「外科質」に出てくる外科医と患者にも言えるかもしれません。紹介した上記のページにも解説されていますが、情事(情愛)が発覚するのを恐れるあまり、麻酔を打つのを拒否しそのまま執刀をうける人妻が、遂に外科医の持つメスを手に取り自らの胸へ突き刺し命を絶ち、後日、その外科医も自殺します。
........なんてそれだけでは何で自殺するのか分かりませんね。作品内では、外科医の若者と、或る伯爵夫人の患者が昔、面識も無い間柄の上に言葉も交わさず「たった一目」見ただけなのに、どういうわけか二人とも相互に惹かれたらしいのです。で、麻酔にかかると「愛してる」だののうわごとを言ってしまうのではないかと、人妻の身分であるゆえにそれが許されないことだと伯爵夫人は決意し、自らメスを取りあげる........巻末の解説から考えてもたぶんそういう内容/解釈なのだと思います。もちろん、「ありえない」話ですが、思うに、いわゆる「観念的」な象徴として描くためのシチュエーションなのではないかと.........個人的には思っています。


 ここで先に挙げた2つの作品で考えてみると、仮に破滅するのが闇ならば、光は愛といえるかもしれません。光と闇が互いに逆の方向へ働こうとする力が大きければ大きい程、ゴシックらしくなる気がします。以前にも「二律背反」という言葉を使って書きましたが、人がどう思おうと、自分ではゴシックはそう感じます。醜悪なものと美麗なもの。惡と善。黒と白。闇と光。

 

 前にも同じ様なことをこのブログで書いてるはずですが、結果的に、自分の好きなモノの多くがみなゴシックの要素を含んでいた.....ということなんですよね。もちろんここでいうゴシックは自分勝手な解釈のゴシックも含めてです。別に無理してゴシックと呼ばれる物ばかりを追い求めた結果ではなくて、知らず知らずのうちに好きになっていたものが実はゴシックだった....ということです。うぬぼれていますが、こういうのを発見する度にやっぱりそうなのだと思ってしまいます。


(2006/08)

† 23:09 | トラックバック | Topへ▲ †

5月末に買った本は以下のとおり。

あたりまえのこと/倉橋 由美子 (著)
よもつひらさか往還/倉橋 由美子 (著)
奉教人の死/芥川 龍之介 (著)
水晶幻想・禽獣/川端 康成 (著)
殉情詩集・我が一九二二年/佐藤 春夫 (著)
さくらん/安野 モヨコ (著)
少女セクト 1、2/玄鉄絢 (著)
脳病院へまゐります。/若合 春侑 (著)
賞賛語(ほめことば)・罵倒語(けなしことば)辞典 /長野 伸江 【著】


あとはいつものように、コナンとスクラン。


 レビューが遅くなってしまいました。(もう9月だっていうのに...)(*注:書き貯めていた記事です。)
「奉教人の死」と「少女セクト」は以前書きましたので省略。

 「あたりまえのこと」
「大人のための怪奇掌編」を読んでからというもの、すっかりフェイバリットの作家のひとりになった倉橋由美子の小説論です。前編と後編におおまかに分けられていて、どうやら書いた時期が異なる様です。前編は20年以上も前に書いてあったもので後編は最近になってかかれたもののようです。(体調がすぐれないなどの記述もありました)
 ともかくせっかくお気に入りになったのに故人となってしまったことは、残念でならないです。そんな倉橋由美子が遺した「小説を書く/読むため」の本です。「小説論」だなんて触れ書きでしたのでムズカシイ持論が展開されているのかもと思いもしましたが、いざ読んでみるとエッセイ風で事項別に述べられていたので、とても読み易かったです。

 前半は「小説論ノート」と題し、「恋」「女」「運命」「自殺」「狂気」などの項目ごとに持論を述べられています。何々の書き方は良くない...という感じで次々とそしてずばずばと、歯に衣着せぬ物言いで批評しています。これがどれもうなずく内容ばかりで面白かったですし、嬉しくもありました。というのは、前のレビューで「いちご同盟」に触れた時にこの本から引用しレビューしましたが、事実、自分が読んであまり面白いと思えなかった理由がそこにはずばり書かれてあったからなのです。これが本当に的を射るかの様に当てはまっているので、作者に共感してしまいそうな位でした。
 後半も事項別に持論を展開していますが、前半の「である」調に対して「ですます」調なので、なんとなく和んで読めます。w だって前半の雰囲気は圧迫感や冷淡ささえ感じる程でしたから。w  後半は「小説を楽しむための小説読本」と題して、批評に加えて今度は小説を読む際の指南をしています。「小説を楽しむこと」「小説を読むときのBGM」「人間がつまらない小説」「話がつまらない小説」など、前半に続いてこちらも膝を叩いてうなずいてしまう内容ばかりです。

 個人的に救われた..というか嬉しかったのは、「明治以後の日本で、とりわけ『美味』であるという条件を満たしてくれる小説はあまり多くない」中、谷崎潤一郎の「細雪」を挙げていたこと。(他には北杜夫「楡家の人びと」、トーマス・マン「魔の山」がお勧めとして挙げられていました) 谷崎については、語り手としてのうまさや名文のうまさとして、この本のあちこちで出てきます。ただ、谷崎訳の「源氏物語」はああいう風に訳する意図が分からない......と書かれていましたが。w  


そんな「あたりまえのこと」の批評内容にいくつも当てはまってしまった本がありました。(あくまでも個人の主観としてです) 
それが、「脳病院へまゐります。」です。

 文學界新人賞を受賞し芥川賞候補にもなったということや、谷崎潤一郎に傾倒する主人公が登場すること、究極の情痴文学という触れ込みだったことで、買ってみたのですが全く好きになれませんでした。

 タイトルからそうですがこの本は珍しく旧仮名遣いで書かれています。「〜でしょう」→「〜でせう」の様になっています。それと共に旧漢字も多用しており戦前の雰囲気を出そうとする意図によるものだと思います。そういう感じ......つまりこの「癲狂院」にも通じる雰囲気が味わえるかも....と思っていたのです。でも期待はずれでした。

 読み始めは良かったのです。ですが次第に登場する女の言動が、うじうじした言い訳っぽく感じてしまい、中盤辺りからそれが著者の言い分、終いにはその登場する女が著者自身に感じてしまって、萎えてしまいました。最初は著者の名前から男の作家かもと思っていたのですが、読後に知ったのですが女の作家でした。思わず納得してしまいました。話の展開も結局のところ主従関係のままこれから脳病院へいきますと言うだけで何も変わらないまま。ただ脳病院へいきたいとわめいているだけのように思えてしまいました。谷崎に傾倒しているという主人公の男は女に自身の性癖を押し付けるのですが、これも..........。具体的に書きたくないですが........その男は女に食糞させたりするのですが、個人的に感じたのは、単にスカトロ行為を書きたいだけだったのではないかと、インパクトの名目のみで意味はないのではないかと.......そう感じました。実際には難しい言動も言葉では簡単に描けます。とにかく物語からその部分だけが浮いてしまっていて、先ほど挙げた点などと共に読んでいくと、旧仮名遣いも単なるメッキのようにさえ思えてしまって........著者や気に入っている人には申し訳ないですが、本当に楽しめませんでした。

 解説に、情痴文学の親玉として谷崎潤一郎、それに続いて近松近江や岩野泡鳴など挙げられていますが、それなら最初からそれらの作家の作品を読めば良いこと、良く分かりませんが褒めているつもりが却って解説者自ら他書を勧めている様にも思えてしまいました。


 「よもつひらさか往還」
読む前はタイトルを見ても「?」という感じでしたが、読むにつれてなるほど納得でした。これは「大人のための怪奇掌編」と同じように1話ごとに区切られていて、それが15話あります。「大人の〜」と異なるのは、1話1話ごとにストーリーが進んでいく点です。それぞれの話は、慧(けい)君という主人公がバーテンダーである九鬼さんという得体の知れない老紳士が作ったカクテルを飲んで、その後に幻想とも現実とも言えない世界へいざなわれてしまう、というプロットで構成されています。

 感想は........「大人の〜」のレビューとだいたい同じです。さすがという出来映えの作品です。精緻な文章やあらゆる分野から引用した文章により的確に表現されていて、幻想的な世界さえもありありと頭に浮かんできます。そういう文章表現などの技巧がまず素晴らしい。そしてわくわくさせる話の展開力.......九鬼さんのカクテルを飲まずともその世界へ逝けそうです。w まあ実際お酒は弱いのでカクテルなんてものには縁がないのですが、そんなことはどうでもよくなるくらい、ぐいぐいと物語の世界へ引き込まれてゆきます。

 作品を通して現れる、バーテンダーの九鬼さん、最初から異様な雰囲気でしたが話が進むにつれて人物自体が異様に。どうかんがえても人間ではない設定が次々と表れ、この九鬼さんを通して作品全体に妖しげな「もや」のようなものが漂っている様に感じました。

耽美でどこか退廃的でもあり乱堕的でもあり、デモーニッシュでもあり、からだとこころがとろけてしまうような狂酔さ。

 そういう設定なので、お酒好きの人にはなおさら好きになれるのではないかと思います。お酒に酔って脳ミソが宇宙へ逝ってしまう様な感じを見事に具象化させているのではないでしょうか。ちなみに「サントリークォータリー」という冊子?が初出誌ということになっています。酒造メーカーのサントリー....ですよね、たぶん。...........って今調べたらありました。

サントリークォータリー
バックナンバーを見てみると、確かに載っていますね。しかしよく見ると連載が15回で終わりにはなっておらず、確認出来たところでは、サントリークォータリーNo.76の22回。もしかしたらまだまだ続く予定だったのかもしれません。残りの分も読みたいです。


 「水晶幻想・禽獣」
読了しているのですがどういうわけかあまり感想を憶えていません.........。すみません。時間が経っていることもあるのですが、どうもピンと来なくて。思うにあまり好みのスタイルでは無かったのかもしれません。収録作品の多くが、何と言うか.....物語を手段として「思想」を表現している....そういう作風のような気がします。作品自体は悪くはないと思いましたし、やっぱり好みの問題だと思います。
 「禽獣」は、夏目漱石の「文鳥」と読み比べると興味深いですね。同じ小鳥を飼う私小説です。 「禽獣」は小鳥に加えて犬の話なども通して生物の死をみつめているようです。収録作品の多くが生や死を扱うものばかりで、どことなく死の引力に引きずられていくかのようなダークさがあります。淡々と話は進んでいくのですが、その不思議な引っかかりのようなものを終始感じていたのだと思います。
 「水晶幻想」は、収録作品の中でも一番不思議な雰囲気でした。犬を飼っている夫人と(主に人間の)生殖に関する研究をしているその夫、夫人の犬と交配させてもらうために家に訪れる令嬢が主な登場人物で、今で言うならブリーダーみたいなものでしょうか、犬の交配や夫の研究している生殖(・技術)の話などを盛り込むと共に、断片的で詩的な言葉を夫人の言葉として随所に散りばめています。この作品の触れ書きは「性をめぐる自由奔放な空想と溢れるイメージの連鎖を結晶化させた実験小説」とあります。そんな触れ書きから官能的な話かと思っていたのですが、まったく違いました。部分的に詩的な感じがしたせいかどことなく瑞々しく、水晶幻想というタイトル付けが読後になってわかりました。とても性的なのに全然いやらしくないのが不思議。


「殉情詩集・我が一九二二年」
この本を飼った理由は2chのあるスレに書き込まれていた詩が素敵で、それが佐藤春夫のものであると知ったからです。その詩というのは次のようなものです。

「水辺月夜の歌」

せつなき恋をするゆゑに
月かげさむく身にぞ沁む。
もののあはれを知るゆゑゑに
水のひかりぞなげかるる。
身をうたかたとおもふとも
うたかたならじわが思ひ。
げにいやしかるわれながら
うれひは清し、君ゆゑに。

 この詩は有名なのだそうですね。佐藤春夫というと申し訳ないですが今ではすっかり過去の人ですよね.......。でも文化勲章も授与されていますし、当時では知名度や人気があった作家だったようです。また谷崎潤一郎とも交流があって、谷崎の最初の妻を譲り受けたという「細君譲渡事件」も有名なようです。また、意外なところでは、絵心があったようで二科展に度々入選していたようです。

 詩というのは理解するのが大変で、買ったはいいもののなかなかページが進まず途中で放り出してしまうことがあります。ランボーのなんかは特にそうで、一体何を表現しているのか分かりにくくて苦労したことがあります。それでもどこか惹かれるというのが不思議です。ああ、でも「殉情詩集」はわりと分かり易かったですけれど。


 「さくらん」
これはコミックです。江戸吉原を舞台にした花魁のお話。................樋口一葉の「たけくらべ」を読んで以来、「吉原」について知る必要があるなと漠然と思う様になっています。なぜそう思うかというと.......わけもなくそう思うからなので何とも言えないのですが、もし挙げるとするならば、それは自分が「無粋」だから(今では「だった」であると信じたいですが)だと思います。それが吉原を知ることになぜ繋がるのかといわれると答えられなくなってしまいますが............。

 吉原を舞台にした又は取り上げた小説は数限りなくありそうですが、コミックというと........あんまりなさそうですよね。このコミックを知ったのは実を言うと随分前のことです。以前に「江戸300年 吉原のしきたり」という本をアマゾンで買った際に、関連商品として載っていたのでずっとカートに入れっぱなしにしてありました。

 感想ですが、結論から言うととてもよかった。とりあえず現行は1巻のみですが話は終わっていない様なので早く続きが読みたいです。独特の画風なので人によって好き嫌いが分かれると思います。 事実、自分も表紙を見て最初はあまり受け付けない感じでした。しかし実際読んでみると思うにこの画風がこのコミックには合っている気がしました。だって可愛らしい女のコだったら合わないでしょう? 剃刀を渡る様な生き方をしている女性を描くには、似合っています。 作中には吉原に関する用語が頻繁に登場します。禿(かむろ)新造などある程度は説明されていますが、羅生門河岸などの言葉が出てきてもそれがどういう場所なのかは分かりません。先ほど紹介した「江戸300年 吉原のしきたり」は、このコミックを読むのにちょうど良いガイドです。併読することでさらに内容を理解出来るのではないかと思います。

 大抵の女性はたぶん.....わざわざ読まなくたって観念的に理解できる/しているのだと思うんです。でも......男の場合とりわけ自分みたいなバカな男だとややもするとろくでもない考えを抱きがち。それでもってさも理解したかの様に振る舞ったりして周りに吹聴したり.........まあそれが勘違いというか無粋なわけで、そういうふうにはなりたくないんです。かといって理解するというのも男であるゆえに宿命的に難しい気もします。分かったつもりでいても女からはバカにされるだけでしょう。もっともこんなコメントをしている事自体、自殺行為なのですが。

 なので女性が描いた吉原というのはとてもすてきなことだと.......思います。おまけに映画化決定とのこと!! 嬉しいですね。


 「賞賛語(ほめことば)・罵倒語(けなしことば)辞典」
アマゾンで見つけて気になっていたので買ってみました。
.......が、アマゾンのレビューで評価されている程、自分には必要ではなかった様です。思うに類語辞典を持っていればそれで済む話だと思ってしまいます。あとはもう個人的な好みでしか評価できません。類語辞典と異なるのは、タイトルの様に褒め言葉と貶し言葉に分類して、しかも賞める/貶すというように人を評価する言葉に搾った点は良いと思います。ただ気になるのは著者の主観的な解釈、ウィキペディアに掲載されている事柄を引用している点(=正しい記述の保証はない所からのソースを引用している)...その辺りが気になりました。個人的には、作家の作品の中から実際にそれらの言葉を使って表現された文章を紹介しているのが、興味深かったです。


 コナンとスクランは............コナンの方はもう半ば惰性で買い続けている様なものです。連載当初から読み続けている人の多くがそう思っているはず。スクランは、少し話に変化が起きてきた様な気がします。最近1巻から読み直したのですが、ときたまハッとさせられる様なセリフが出てきたりして、何気に良いです。最初はそれも「ネタ」としての使い方かなとも思っていたのですけど、どうやら違うらしい??? それとハリマが隠れて徹夜で(..というかもう半ばバレてますが)マンガを描いて出版社に持ち込んでいたりする場面が度々出てきますが..........これってひょっとして作者本人の姿を重ねているのでしょうか。作者の経歴は知りませんが、スクランがデビュー作だとすると、なんとなくそう思えてしまいます。 もう少し描き込みが細かければなお素敵なのですが.......期待しています。


 また長々と書いてしまいました。1冊ごとに分けて書く方がよいかも。そもそもこの雑記を定期的にご覧になる方などいるとは思えませんが、見る立場で考えたら、好みがあるはずなのでまとめて紹介した本全てに興味を抱くとは思えません。ただ、現状ではどうせ自分しか見てないものだと思って、自分の記録として後の創作の参考になるように意図して書いています。なので少し感想としての表現を自分なりに言葉を選んで書いています。

 それはともかく、倉橋由美子の作品はお気に入りになりました。「さくらん」も大事に本棚に置いておきたいコミックです。他も期待はずれでもなく好きになれました。(コナンは微妙ですが) 「脳病院〜」と「賞賛語(〜辞典」を除いて。

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