Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。

美術/絵画 アーカイブ
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 オルセー美術館展2010||2010年5月26日-8月16日||国立新美術館

 なんとなく気にはなっていたものの西洋絵画はいままでに色々と見てきているので、あまり観る気はありませんでした。オルセーってたしか元々は印象派の絵画を蒐集した美術館だったと聞くし、それだたったら、モネ、ルノワール、マネ、セザンヌ…好きな画家ですが、ものすごく好きっていうほどでもないし…特に調べなかったのがいけませんでした。


 事の発端は、うちの親がこの展示会を観てきてからでした。この絵があの絵が良かったなどと感想をぼーっと聞いていたら、「モローのオルフェウスが良かった」なんて言うではありませんか!

 ええぇっ!? モロー?オルフェウスって、あの「首を竪琴にのせて俯くトラキアの娘」を描いたあの絵???

 展示リストを見せてもらったら、本当にある!!! あの絵がオルセー所蔵であることは知っていましたがまさか来るとは…思いもしませんでした。だって、モローなんて同時期の印象派の絵に隠れてしまうし、作風も決して万人受けするようなものでもないので、そうそう来るものではないと思っていました。

 
 神話ではトラキアの娘に八つ裂きにされたというオルフェウスなのですが、モローのこの絵に描かれているのは、まるでかつての恋人の首をいとおしく想い静かに抱く様な、とても八つ裂きにしたとは思えない、トラキアの娘の表情がそこにはあります。それと驚くほど精緻な衣服の描き込み。それがこの絵の気品高く感じさせる要因の一つでもあるように思えます。

 これだけでも個人的には観るべき展示会なのですが、リストをその後も見ていくと、見逃したヴィルヘルム・ハンマースホイの絵も1枚あるではありませんか! おまけにロートレックの「黒いボアの女」も!これは以前のロートレック展で見ていますが、やっぱり見たい。

 
 さっそくチケットを買ってきました。
8/16日までだっていうし、早めに観に行っておこうと思います。
ちょっと調べたらモローのミュージアムグッズもそこそこあるみたいです。…たのしみです。


 余談ですが、展示リストのモローの絵のタイトルが単に「オルフェウス」だけになっていました。画集や本で記載されているものはたいてい「オルフェウスの首を抱くトラキアの娘」だったのに…、このタイトルの長さ、「首を抱く」「トラキアの娘」という文が入っているからこそ、モローらしいファムファタルな絵画を想起させるタイトルなのになあ…。

† 23:15 | トラックバック | Topへ▲ †

加山又造展 | 2009年1月21日(水)~3月2日(月) 国立新美術館

 
 どうしても見たいと思っていた展示会、加山又造展。
見終えた直後の感想は、「見応えたっぷりの内容だった」でした。以前、東京国立近代美術館で琳派展や加山又造 + 所蔵作品展で、加山又造の絵を知って「わりと好みの画家」ではあったのですが、今回の展示会を見て、お気に入りの画家のひとりになりました。

 美術や絵画の専門的な知識はない素人ですが、個人的に或は「このブログ的」にお勧めの展示会です。琳派が好きな人ならもちろん、琳派も含めて日本画とか古くさいしあんまり.....なんて言う人にもお勧めです。今回は久しぶりに弟も一緒でした。デザイン関係は好きみたいだけど絵画は別に、という感じなのに、今回のは割とウケた様子でした。日本画とか古くさいし....なんて言う、ずばりそんな弟でしたので。でも見るまでは散々なことを言ってたなあ。「どうせ会場はじーさんとかばーさんばっかりなんだろ?」とか失礼な事を色々。たしかに日本画だからその傾向はあります。でもそれって若い人に日本画の偏見があるのだと思います。たとえば大和絵、雪舟などの水墨画などはともかく、近代でも伝統を受け継いだ横山大観、或は西洋のエッセンスを取り入れた東山魁夷でも、たしかにそう思われるふしもあるかもしれません。(個人的にはそうは思わないが) 

 しかし琳派、とりわけ加山又造の作品は、かなりデザイン的な絵画だと思います。特に加山又造のは、琳派をさらにモダンに押し進めたコンテンポラリーな琳派だと思います。そのことは公式サイト内に紹介されている作品からも窺えると思います。

 サイトには紹介されていませんが、七夕や天の川を題材にした作品などは印象的でした。たしかにそれまでの琳派のスタイルではあるのですが、画面構成やその題材が斬新でとても驚きました。幻想的で宇宙的というか....ある意味SF的というか、非日常的な空間が描かれている日本画、という感じ。表現という意味では水墨画も頭に思い浮かべるものとは違い、見る作品ひとつひとつに驚かされました。金屏風に黒い牡丹が描かれた「牡丹」は金と黒の強烈なコントラストの中に妖しく輝くようでしたし、「華と猫」は日本画には従来出てこなかった様な長毛種であるペルシャ猫が描かれた和む作品.......。また描かれる動物などが特に顕著だったと思うのですが、輪郭が美しい。狼、キリン、ゾウ、鳥、そして竜.....何と言うか輪郭だけは写実的というか各々の動物の躍動感を表しつつも美しさと併せ持たせる様な線を描くと言うか.........。


 もうひとつは何と言っても裸婦画です。レースを纏った裸婦画の一連のシリーズのひとつを以前見ているので、その素晴らしさは一応分かっているのですが、今回は四曲一隻の屏風など、非常に大きいサイズのものがいくつも展示されていて、その美しさとともに魔的な雰囲気が漂っていました。(....と思いたい) 前に見たのは屏風ではなくコンパクトなサイズに黒薔薇と白薔薇の模様のレースをそれぞれ纏った裸婦の絵が対になって飾られていたものでした。が、今回は屏風絵。裸婦画の屏風絵なんて斬新すぎます。しかも薔薇のレース模様だなんて。これらの絵は裸婦がレースを纏っているだけでなく残りの背景にもレース模様が敷き詰められています。黒薔薇の方は見やすいですが、白薔薇の方は光を照らす様に見ないと見えませんでした.......。(あんまりまじまじと見ていたら変態とか思われるしなあぁ.....。) この作品だけは個人的にはゴシック調と吹聴したいです。背景に鏤められた華麗なレース模様に流麗な輪郭による裸身との組み合わせが単なる裸婦画ではないもっと普遍的な美を表しているかのように思えます。


 ここで4年前と同じ様に再び引き合いに出してしまうのですが(Diary of a Madman: 谷崎潤一郎 [+] 癲 狂 院)、やはり文豪・谷崎潤一郎と重なる点があるように思えてしまいます。 谷崎は初期の作品では西洋のモダンさを取り入れたりしたものの、後期では「細雪」「春琴抄」に代表される様な日本の美を精緻な文章によって描いています。丸谷才一の解説に確か、谷崎は日本の美を回顧したのではなく美を追求し行き着くところが日本の美だった......と書かれていました。加山又造もまた画家人生の中でたどり着く先が日本の美だったのではないかと思うのです。例えばそれが前述のレースを纏った裸婦画だったり.......。谷崎の「陰影礼賛」でも西洋と日本のそれぞれ女性の美を比較した話が載っていましたっけ。
 そういうわけで新潮文庫の谷崎潤一郎の表紙カバーが加山又造によるものなのはうなずけます。
関係ないですが猫好きで猫を飼っていたっていうのもありますね。w

 
 それと公式サイトで初めて知った装飾品!!! 中でもアームレットはクリティカルヒット! 腕輪ですよ腕輪!!!  加山又造展 | みどころ(第章 生活の中に生きる「美」) 他にも装飾品では花びらのネックレスなども展示してありました。焼き物の器、きものなどもあり、琳派の画家と似たところがありますね。今回の展示作品を見ていると、本当に限界のない自由な美の世界があり、それを満喫出来たことが嬉しく思うとともに、それらがすべてひとりの人間によるものだと思うと、加山又造の素晴らしさ、凄さをまじまじと感じるのでした。


 これは余談ですが、ふたつめの休憩室に飾られていた(映されていた)絵、付随して書かれていた解説文を見てこれにもびっくりさせられました。マッキントッシュにアドビのフォトショップとA3サイズのペンタブによって描かれた小作品。日付が1998だったので、まだ機能的には加山自身には満足出来なかったようですが、今だったらどうだったかなあ....。1998年というとインテュオスも初代が出たばかり?だったような気がするし、ソフト的にもフォトショップはアナログ絵画的な表現は難しかっただろうし、その当時のペインターも.......。ネット上の自分の作品に対する感想などを見て楽しんでいたり、これからのCGなどのデジタルによる絵画の在り方に興味を持っていたようですし、そう思うともっと長生きしてもらいたかったと思わずにはいられません。


 いつものようにカタログを購入しましたが、今回はDVDとのセットのものにしました。DVDセットというのは初めてお目にかかりましたが、これはとても良いと思います。展示内容、カタログと内容がリンクしていて加山又造本人の映像や家族によるコメントなどDVDならではのコンテンツで、これからの展示会ではカタログにDVDが付録するのが定番になりそうな予感がしました。


 というわけで、個人的には既に今年一番の展示会となりそうです。見て良かったーーーーー!!!

† 21:45 | トラックバック | Topへ▲ †

 「風神雷神図屏風」や「燕子花屏風」などの他に気に入った作品のうち、いくつかの感想を。

 伝俵屋宗達「桜芥子図襖」…上部に描かれた降り注ぐ様に鏤められた桜の花と下部の芥子の花の対照的なデザインがすてきです。琳派にはそういう対照的な組み合わせが多いように思えます。対照的なモチーフを組み合わせる事によって両者をより際立たせるのかもしれません。
 
 尾形光琳「孔雀立葵図屏風」…兎に角、描かれているクジャクがすばらしい。経年変化の色合いの結果もあるのでしょうが、描き込まれた一枚一枚の羽が気品と風格を感じます。クジャクの刺青というならこういうのでないと。緑、青、赤.....原色でないところに良さがあると思います。対照的なタチアオイとの組み合わせもいい感じ。

 酒井抱一 「夏秋草図屏風」…前回の琳派展でも飾られていた作品。元は尾形光琳「風神雷神図屏風」の裏側に描かれていたというネタで有名な屏風です。風神雷神に合わせて、風に吹かれ雷雨に打たれる様が叙情的に描かれているところが好きです。ミュージアムショップで、これのミニ屏風を買ってきました。きちんと二曲一双になっていて作りもしっかりしていて、その分値段も高めで悩みましたが(5250円)、買ってきて正解でした。

 酒井抱一「柿に目白図」「柿図屏風」…柿の木.....終わりゆく秋の面影を残すかのような数個の柿の実と、しなやかに伸びた枝振り。たわわに実っているわけではないところに良さがあると思います。数カ所の鮮やかな柿色が程よいアクセントになっているというか。観ていて自分だったらもう少し柿の実を描いてしまうだろうなあと思いました。


 俵屋宗達「唐獅子図杉戸」…琳派というよりも安土桃山文化の豪奢な感じがする荒々しく威厳のある雰囲気。気に入ったのが唐獅子の表情とそのポーズ。重厚だけれどもしなやかな体の曲線が観ていて心地よいというか見事に「嵌っている」感じで好きです。

 きもの…前回の琳派展では尾形光琳が手掛けたとされる小袖が2着あったと思うのですが、今回は江戸時代に流行した琳派のデザインの着物が数点飾られていました。.........去年観られたら、去年の年賀状での着物の柄を描くのに苦労しなかったかも。w 流行したというのだから当時はもっとたくさんあったのでしょう。そう思うとうらやましいですね。

  蒔絵…精緻な作りが見事です。硯、硯箱、戸棚などに綺麗な装飾が施されているのです。動植物がデザインされているのですが、和むというか可愛いらしさと上品な具合が組み合わさっていて......「ひとつ欲しい....」なんて声がよく飛び交っていましたが、同感です。それをいうなら展示作品全部に言えますが。w

 鈴木其一「萩月図屏風」…このほかの其一の作品もそうなのですが、他の絵師の作品と比べて、どこか落ち着いていて、空気に溶け込むかの様な雰囲気を感じました。さらっと薄めに描かれているせいでしょうか。屏風よりも掛け軸の作品では特にそう感じました。例えば茶室に飾られることを意識してのことでしょうか。光琳や抱一とは異なる雰囲気がまた好きです。


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 ところで、今回展示会場となった東京国立博物館。上野駅からそこへ行く途中に過ぎる国立西洋美術館で妙に気になる展示会がありました。「ヴィルヘルム・ハンマースホイ展」。その長くカッコいい響きの名前で記憶に残ったのもそうなのですが、ポスターに使われていた絵を観て、非常に興味がわきました。自分が無知なのもあるのですが、初めて聞いた画家です。西洋美術館のレストラン「すいれん」でご飯を食べたついてに、売られていたカタログをちらっと見たのですが、「静かなる詩情」という副題が付けられているのがぴったりな内容でした。特に何もない部屋.....開いた扉に格子窓、奥に覗かせる隣の部屋。黒いドレスを着た女性の後ろ姿。写実的なのに幻想的な雰囲気。絵の中に描かれた主題が見るものに訴えかける様な感じのものではありません。どちらかというと見るものが絵の中に誘い込まれる様な....そういう感じです。

 とても嵌りそうです。まだ展示しているので.......観に行きたいな。

 ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情  Vilhelm Hammershøi:The Poetry of Silence

† 01:04 | コメント (6) | トラックバック | Topへ▲ †

大琳派展 ~継承と変奏~| 尾形光琳生誕350周年記念

 先月末に一度観てきたのですが、今日ふたたび観に行ってきました。
開催期間36日という短い間に琳派の集大成というべき作品数、そして国宝、重文の作品も数多く、非常に見応えのある内容で、いたく感動した次第です。

 数年前に、東京国立近代美術館で琳派展が開かれましたが、あの時とは趣や作品数などかなり異なっていました。あの琳派展は全体的な作品は控えめで、尾形光琳はもちろん俵屋宗達の作品はかなり少なく、展示後半は独自の解釈として、琳派のスタイルが窺える、琳派とはまるで関係のない画家の作品を取り上げていたりと、なかなか意外性のあり楽しめましたが、今回の展示は王道の内容でした。本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳・乾山、酒井抱一、鈴木其一と、琳派の流れを汲む作家の作品で占められていました。ここが凄い。今回の展示を見るまで、これほど琳派の作品があることを知りませんでした。


 今回、なぜ2回も観たかと言うと、それはずばり期間内の展示替えで一度では観たい絵が観られないからでした。事前に公式サイトから展示目録に目を通していたので、最初からそのつもりでした。特に絶対観たかったのが、俵屋宗達の「風神雷神図屏風」、尾形光琳「燕子花図屏風」。どちらも国宝に指定されている作品です。あいにくこの2作品の展示が前後期と分かれていました。国立博物館や国立近代美術館などの所蔵ではないので、なかなかお目にかかれないものですし、近場で観られるのなら是非と思いわざわざ2度も足を運びました。


 しかし、それに見合う感動でした。もうなんて言ったら良いやら..........国宝だから良い、というのではないのです。それをいうなら、知らなかった鈴木其一の「風神雷神図襖」は衝撃的でした。「風神雷神」のオーソリティである俵屋宗達のそれはやはり見事としか言いようがありませんが、鈴木其一の「風神雷神」もすばらしいです。襖8面......幅5、6mはあるのでしょうか、その大パノラマに大胆に余白を空けた中に浮かぶ風塵と雷神。後期の展示では、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一のそれぞれの「風神雷神図」が一堂に集まり、同じ空間に飾られているその景色といったら!!!!!!  その中でも鈴木其一のは一番躍動感が感じられました。琳派の中でも一番最後の人とあって、過去の風神雷神図を参考にオリジナリティのあるものにしようとしたのでしょう。それまでの屏風絵でなく襖絵である点、風神雷神の纏う衣のうねる様な表現、背景のたらしこみ技法による雷雲と風の表現、この雷雲と風の表現が一番描かれていたと思います。

 展示室内で聞こえる話に耳を傾けてみると、多くの人が「やっぱり俵屋宗達のが一番。迫力がある」という意見でしたが、確かに俵屋宗達のは時代がまだ安定していない安土桃山・江戸初期ということもあってか、鬼神のような重厚さと気迫さが漂っています。尾形光琳、酒井抱一のそれぞれは、どこかデザイン的な、どちらかというと絵の内容よりも見た目を意識した様な、そんな気がしました。鈴木其一のは、モダンながら轟く雷鳴と激しい強風の音が聞こえてきそうな臨場感があり.........個人的な表現だと、RPGに出てきそうなモンスターと言うかビーストのような感じでした。ゲーム画面でサウンドエフェクトと共に出現した瞬間のような、そんな感じです。鈴木其一のが一番お気に入りかも。

 
 琳派といえば、身近な植物をモチーフとした絵、これがまた素敵すぎるのです。タチアオイやキキョウ、ウメ、サクラ、アジサイ、ユリ、アサガオ、カキツバタ、日本に昔からある身近な存在の植物たち。その植物を写実的というよりはデザイン的に配置、描かれたその絵の美しさ。展示室どこを観てもそんな絵ばかりでしたから、もう感無量です。前後期あわせて6時間くらい観ていたと思います。自分も植物が大好きですし描かれている植物のいくつかを育てていることもあって、それぞれの植物の良さを本当によく捉えていると、いたく感心しました。大仰しい絵ではないのです。掛け軸というと固くて近寄りがたいような雰囲気を想像してしまいますが、そういう感じではなくて、もっと瑞々しくて柔らかい感じがあって、和ませる様な、そういう雰囲気です。そういう親しみのある内容がとても好きです。

 こんなに充実した内容ゆえか、展示期間が短すぎます。1ヶ月ちょっとですよ!? しかも期間内にちょこちょこと色いろ作品が入れ替わっています。実際には前期後期というわけではなくて、6期に分かれています。期間内通して展示されている作品が大半なのですが。


 展示も明日で終了という時に、勧めるのも時既に遅しですが、近くの人は是非ご覧になる事をお勧めします。見逃した人も、将来またどこかで琳派展が開かれる時には是非ご覧になってください。日本人ならこの良さは文句無しに分かるはず。


 ............余談。1度目を観た時は、実を言うと東京都美術館で開かれていた(現在も開催中)の「フェルメール展」を同日に観たのですが、正直なところ、フェルメールの作品も良かったですが心に深く印象に残ったのは「大琳派展」でした。よく美術館に足を運びますが、近年観た展示会の中では個人的に一番かもしれません。それくらいすばらしかったです。

 ちなみに公式サイトのデザインも好きです。アーカイブ保存してしまいました。

† 16:16 | トラックバック | Topへ▲ †

おととい見てきました。
まずは当日の館内の様子から。

 日曜の朝9時半前に(東京メトロ千代田線)乃木坂駅 美術館直結の出口に着き、国立新美術館のシャッター前に30人程度、すでに人がいました。たしか9時半になってシャッターが開き、美術館へと行けたと思います。既にチケットを持っていたので館内へ入り、閲覧開始時間を待ち、これも記憶が定かではないのですが、9時45分くらいには(展示会場へ)入れさせていたと思います。

 入ってすぐに会場中程にあるフェルメールの「ミルクメイド」へ。
絵の前に客足を前後へ二手に分けるロープが張られていて、前は立ち止まれないが近付いて見られる列、後は少し遠いがじっくり立ち止まってみられる列、というふうに分けてありました。当然、開館時間すぐに入れたので、その時は並ぶ必要もなく前列の本来立ち止まっては見られない場所でもしらばく立ち止まって見ることが出来ました。5分か10分すると、チケット売場も開き、そちらから人が来始め混雑してきたところで、2列に分かれルールに従うよう、アナウンスが。

 よく見られたので、それから他の絵を見て回り、再びミルクメイドのフロアへ来た時は、人だかりが出来ていました。

 見てきた感想としては、絵をじっくり見たいならば、双眼鏡は絶対持っていくべきです。事前に買っておいたので本当に重宝しました。あるとないのとではだいぶ満足感が違うと思います。結局、近くから見られる前列でも立ち止まって見ることが出来ないので、せいぜい1分の間に1.5m先の40cm四方の小さな絵を見ても、「見た」というだけで「観た」という具合にはならないと思います。それなら後列から双眼鏡でじっくり観た方がずっと良いです。後列のロープ前でなくてもそれよりずっと後の、5mくらい離れた所からでも双眼鏡ならば問題なく細部まで観ることが出来ました。

 事前に買った双眼鏡は、「Vixen 双眼鏡 アクティM8X21 7257」です。アマゾンでお急ぎ便で注文しました。本当に指定された日(翌日)に届きました。コンパクトですし、かさばりませんし、これくらいのサイズの双眼鏡はお勧めです。


 照明具合が悪い....という情報を前に書きましたが、確かに場所によっては照明が反射し見辛い場合があるかもしれません。(特に近付いて観た場合) 双眼鏡を持って後から観る分には大丈夫だと思います。絵も比較的高めに掛けられているので、人の頭で観られないということもそんなにありませんでした。

 ちなみに、混雑具合は、同美術館でこの前まで開かれていたモネ展ほどではありませんでした。それでももちろん混み合いますが、思った程ではなかったと思います。


 肝心の絵の内容ですが、言われている程フェルエール以外の絵が悪いとは思えず、むしろなかなか良かったと思えました。確かに画家によって質感の表現等のクオリティの良し悪しがあるのは確かなのですが、何気ない、ごくありふれた当時の生活が1シーンのように額に収められているかの様な、そんな気がして好きです。活き活きとしている、そんな感じです。観ていて気付いたのが、描かれているものが多彩で、メインの人物以外の絵の隅々まで事細かに描かれているのが多く、いろいろな発見が出来て見つけた時はおもわずにまっとしてしまいました。動物も多く、犬が描かれているのが数点ありました。また、どの絵も、背景が暗く、全体的なトーンも茶色ぽい感じで、落ち着いた、レトロな、それでいてどことなく明るさを感じる......そういう雰囲気でした。


 フェルメールのミルクメイドは、「フェルメールだから」というわけではなく、やはり素晴らしかったです。たとえばパンの描写なども他の画家のとはリアルさが違います。他の画家でも緻密な描写がなされていたのもあったのですが、それでもフェルメールのはやはり独特で、..........なんなんだろう.......リアルなのに単なる描写に終わらず、整然と絵としての風格があるというか...........。

 フェルメールは構図を綿密に行っていた画家だったようで、カメラオブスクーラとよばれるカメラの元になった機具を用いてパースペクティブを正確に捉えたり、レンブラントの光にも通じる様な、窓から差し込むやわらかい光を光源にしたり、色彩を鮮やかにするために高価だったラピスラズリを顔料にして、青色に使ったり下地に使っていたりしていたようですし、名画の裏には数々のアイデアが盛り込まれているわけですね。事実、今回のミルクメイドにも試行錯誤の跡が確認されていて、映像等でも館内で解説されていたのですが、背景の壁に何か書き足したり消したりした跡があちこちにあるようですし、パースを正確に書くために、消失点にピンを留めてそこから糸を引き当たりを付けていったようです。あとフェルメールの特徴として、光沢を白い点で表現するというのがありますよね? ああいうのはやはり双眼鏡でないと分かりません。


 ...................と短くまとめるはずが長くなってしまいました。フェルメールも良かったけれど、その後、上野の森美術館で観たシャガールのもとても素敵でした。優しくロマンティックで和む絵。若い女の人が割と多めだったのも頷ける。こちらは入場料が1000円だったけど、それ以上に充実していたように思えます。シャガール展もかなりお勧めです。こちらは混んでいないし建物も小さめですので、どこか和んで観られる気がして、けっこうお気に入りです。シャガールの絵ってなんとなくうっとりしてしまうんですよね。また観てみたい気にさせられます。あぁぁ...西洋美術館ではムンクもやってるし都美ではフィラデルフィア美術館展もやってる.............。まさに芸術の秋ですねえ。

† 23:07 | トラックバック | Topへ▲ †

 タイトルを見て、おもわずムッハー(;゚∀゚)=3 となったあなた、思っていたのとは微妙に違うかもしれませんね。


展示会が始まりました!!!
フェルメール 「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展

......というわけで、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」の「みるくメイド」でした。間違ってないよね?w ドメインも「http://milkmaid.jp/」だし。アキバで口にしたら何人か振り返りそうな言葉ですが。w


 ムッハー(;゚∀゚)=3 
............またフェルメールの絵が日本で見られるなんて...........!!! これを見られたら3枚目になります。「画家のアトリエ」、「窓辺で手紙を読む若い女」、そして今回の「牛乳を注ぐ女」。


 もちろん見に行くつもりです。実は先週、ぎりぎりで前売りチケットを買いました。モネ展やゴッホ展ほど混まないとは思いますが、そんな美術に関心がなくても知っている画家の名前を冠した展示会は本当に混みまくる。フェルメールの名前は絵に多少なりとも関心があれば知っている名前ですが、そうでなければそれほど知られていない気がするので、思うほどには混まないとは思いますが...........フェルメールの1枚だけ、すごい人だかりになるのは必至ですね。

 もう既に見に行った人の話によれば、「画家のアトリエ」の時と同様に、1.5m近く離れて鉄柵.........みたいです。あ、でも「画家のアトリエ」の時のガラス張りではないみたいなので、それと比べれば見やすそうかと思えば...........この「牛乳を注ぐ女」、サイズがとても小さいのだそうですね。ディティールを見るとするならオペラグラスが必要なくらいみたいです。それに加えて照明も難ありだそうで......おまけにオバさん達の言動がxxxだとか。...まあオバさんに限った事ではないですが確かに邪魔というかイタい人が美術館にいるのは確か。........そうなんだよなあ.....「画家のアトリエ」の時、罵声を浴びせてた中年の男がいたんだよなあ。(´・Д・`) ヤナヨカーン


 フェルメールの1枚の絵のためだけの様な展示会ですが、実は合わせて展示されるオランダの風俗画にも密かに期待しています。というのも「恋煩い」というタイトルの絵を描いたヤン・ステーンの絵が来ているみたいだからです。(展示される詳細な絵のリストを知らないのでわかりませんが)「恋煩い」の絵が来ているとは思えないのでそれほど期待しているわけではありませんが、フェルメールと同時期のオランダの絵は、画風やタッチが個人的に好みなので、有名な絵でなくても楽しめる気がします。風俗画も時に滑稽でユーモアに満ちたものも多いので、しかめっ面をしながら見る必要もないので、その点もいいです。

(ちなみにそのヤン・ステーンの「恋煩い」の中で好きなのがこの絵。(違う構図で同タイトルの絵が何枚かあります)
http://www.salvastyle.com/images/collect/steen_zieke02b.jpg
ラブレターを手にして恋の病にかかった女の人が医者に診てもらっている(脈を取っている)、という絵です。)

 それと...........今回は展示場が国立新美術館なのでその点も良いと思います。それまでよく展示場にされていた東京都美術館(都美)は、建物も古くなにより狭いので、混雑しやすいんですよね。天井も低いので圧迫感を感じる人もいるみたいです。国立新美術館はそれと比べて大きな建物ですし、天井も高い。開放感があり心地よいです。今後は大物の絵は国立新美術館の方で飾られる事が多くなるのかもしれません。

 あ...........都美の話が出たので余談ですが..............、あそこの2階のレストラン....というよりは食堂っぽいですが、あそこの従業員.......いわゆるアキバとか萌えの「メイド」ではない、「メイド」っぽい雰囲気がありますよね???  濃紺と白の色の組み合わせの制服がなんとも古き良きメイド服、って感じで。もちろんフリルとかが付いているわけではなくてメイドっていうより女給って書き表した方が似合ってそうですが。.............いろんな意味で都美は古いですよね。別に悪くないけど.....というよりはあそこはあのままの雰囲気でいいような気もします。


 
 なにはともあれ、みるくメイド。(その書き方やめr
ムッハー(;゚∀゚)=3

† 21:23 | トラックバック | Topへ▲ †

去年辺りから六本木へ行く事が増えました。増えたと言ってもまだ3回ですが。森美術館と国立新美術館へそれぞれ2回行っています。過去にフィリップスコレクション展、ポンピドゥーセンター所蔵作品展、モネ大回顧展、そして昨日はル・コルビュジェ展を見に行ってきました。

 防衛庁跡地を再開発したのが、六本木ヒルズや六本木ミッドタウン、国立新美術館の....あの一円なのですね。確か....国立新美術館内に、戦前の陸軍兵舎の模型がありましたね。そんな急激な開発によりすっかり様変わりしてしまった六本木。六本木ヒルズ、ミッドタウンにはそれぞれたくさんのお店が入っているので、かなーり見て楽しめそうですが、いつも美術館のついてなのでたくさんの時間が割けず急ぎ行脚でしかも「迷いつつ」右往左往しているので、何が何だかいまだに良く分かっていません。.........どなたかにこんなおのぼりさんをガイドして欲しいくらいです。w 

 街以前に交通関係でもあたふたするくらいです。そっちのほうは最近になってだいぶ分かりましたが、以前はけっこうひどかったものです。w それでも群馬から湘南ラインが出ているので、乗り換えせずに直通で新宿、渋谷、恵比寿などには行けるので、地下鉄日比谷線か大江戸線に乗り換えて六本木駅で降りるだけなので、考えてみれば至極簡単なはずなのですが。それはともかく、上野辺りに行くのとは違って若干遠く感じます。赤羽から恵比寿まで40分近くかかってしまうし。ふらっと出かけて見に行く、なんてことができないので、その度に東京に住んでいる人が羨ましく感じます。


MORI ART MUSEUM [ル・コルビュジエ展]
 
 昨日見たコルビュジェ展.........実を言うと弟に連行されて行ってきました。建築が好きで建築関係に携わっている故に見に行くと言い出して、弟には負けるがそれなりに建築が好きなことを知られているのでどうもカモにされたような気もしないです。コルビュジェというと.......ランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと共によく近代建築の3大建築家として大変知られている建築家です。コンクリートの打ちっぱなしを多用し、大きく緩やかなスロープ、螺旋階段、大きく広いピロティ、真っ白な外壁、整然と並べられた格子状の窓、屋上庭園......ラ・ロッシュ邸やサヴォア邸、ユニテ・ダビタシオンなどがそうで、一方、直線的ではない有機的なフォルムをまとったロンシャン教会などもまた有名です。そんな数々の建築の模型はもちろんのこと実寸大に再現されたモデルルーム(?)などもあり、建築を手掛ける前から行っていた絵画や彫刻なども多数展示されていました。

 建築家の展覧会なんて面白いのだろうかと見る前は疑問に思っていたのですが、模型と共に、映像による説明なども随所にあって、そんな様々な見せ方でなかなか楽しめました。一番大掛かりだったのが、集合住宅の「ユニテ・ダビタシオン」の1ユニット分の実寸模型。中に入る事が出来、モデルルームの様なものでした。ああいう建築家のマンションなんてすごく住みにくそうだと思っていたのに、実際に入ってみると実に良く作られていて、さほど広くはないけれどそれぞれがうまく機能していて意外でした。あれなら住みたい。

 今回の展示ではとくに説明されていなかったと思うのですが、コルビュジェは若い時に.....30代初めだったと思いますが、網膜剥離で片目を失明しています。絵画なら未だしも、立体的な創造をしなくてはならない建築を隻眼でこなすのは、かなりハンディになると思うのですがどうなのでしょう。このことは最近になって知りました。たしかに丸い黒縁に牛乳瓶の底のようなレンズをはめたメガネを掛けていましたが、片目が見えなかったとは。余談ですが、一時期コルビュジェの弟子として建築に携わっていた、作曲家のクセナキスも内戦で顔面を負傷し片目を失明しています。クセナキスもコルビュジェと同じくけっこう好きなのですが、意外な共通点ですね。頭の下がる思いです。_| ̄|...○ボトッ

 話を戻して、今回のコルビュジェ展ではあちこちにコルビュジェのイスが置かれていたことが嬉しかったです。コルビュジェのイス.....建築同様に有名でテレビや雑誌でもよく見かけますね。LC1、LC2、3、4.......そんな垂涎のイスに座れた、というのが今回の展覧会で得た収穫の1つでもあります。なかなか実物にお目にかかれないし、なにより値段が高いっ!  LC3だったら車が買えそうだもんなあ。LC2とLC3は単に一人掛けか二人掛けの違いだけなのかと思っていたら、座面のクッションの硬さが違っていました。わりと固めなLC3の方が好みでした。あぁ......いいなあ。LC4のラウンジチェアもイームズのそれとは異なり小振りでスマートなラインが素敵でした。弟が話していましたが、なんでも著作権が死後50年経つので失効し、色んなメーカーから発売されそうとのことで、値段もピンキリになりそうなのだとか。.......案の定、弟は狙っているそうです。先日もオリジナルのイームズのシェルチェアを買ったそうだし。...........やっぱりいいよなあ。密かに自分もマッキントッシュ(パソコンのそれではありません。念のため)のハイバックチェアが欲しかったり..........。


 来週で展覧会は終了だとしてもいくら建築界では超有名とはいえ、世間一般的に見たら、こないだまでやっていたモネなんかと比べるとやはりマイナーだろうからそんなに混まないのかな...と思っていました。ほとんど開館と同時に入ったのですが、やはりそれほどの混みではなく、ゆったりと観られました。コルビュジェのイスにも座れたし。ところが見終わって出てみると、チケット売場/入り口付近がすごい混み。早く来て良かった〜。展示方法が絵画とは異なり、映像を見たり、実寸大の部屋の中を順番待ちで見て回ったりするし、また休憩用のイスもコルビュジェのものなので、混み合っているとそれらを堪能するにはえらく時間が掛かってしまいそう。


 見終わった後、ミッドタウンのインテリアのお店を見て回って、へとへとになってようやく帰りの電車に乗れたと思ったら、なんと人身事故で30分も遅れて参りました。都内だったら比較的多いのかもしれませんが高崎線ではめったに起きないはず....なのでびっくりしました。事故が起きた時は桶川あたりで恵比寿から桶川まで1時間、30分停車して....復旧したすこしあとでようやく座れたので、まあ1時間半、立ちっぱなしでした。ああいうときはブーツはきつい.........重いし。でもブーツの方が似合うんだよなあ........。

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 ここ1、2年、気のせいかゴスの格好をした人を美術館で見かけるようになりました。

気のせい........確かに気のせいなのかもしれませんが、以前より見かける箏が多くなったのは確かです。特に現代美術に近くなるにつれてその傾向が高い様な.......気もします。が、これは自分が単に見に行く展覧会の内容が比較的近代のものが多く(日本美術などのものはあまり見たことがないし)、かなり主観的になってしまうからかもしれませんが。


 去年の年末に見に行った、ダリ展(上野の森美術館)。割と若い年齢層が多めでした。子供も多かったし。それにしても修了間近だったこともあってか、朝早く出かけたにも拘らずずごい混み様でした。見終わって美術館を出たら(ちょうど正午過ぎ)、それ以上の長蛇の列にびっくり。あれじゃあ日が暮れそうでした..........。

 で、見かけましたよ。ゴスの人。ふたり連れで共に女性でしたが、..........よく知らないので分からないのですが、ひとりは王子役(?)の人なのかな.......男装っぽい感じで(ダブルのジャケットにパンツって感じ)髪もわりと短め、もう一人の方はカワイイ飾り用みたいなちっちゃなシルクハットを頭の上にちょこんと載せていて、紅いバラと茨の飾りをしていました。こちらは髪は長め。共にほとんど金髪に近い感じ。どっちかっていうとゴスパンクっぽい感じだったかも。エナメル調のパンツやバッグだった気がします。

ダリ展の時もそうでしたが、先日のオルセー美術館展のときも見終わった後は、西洋美術館内にあるレストランでご飯を食べたのですが、美術館内のロビーで、そのどちらの日にもゴスの格好の人を見かけました。(もちろん別人だろうけど)やっぱりふたり連れて、ひとりはやっぱり王子役みたいな。なんかそちらの人達は背が高くて顔立ちも綺麗で男の目から見てもカッコ良かったです。ひとりは金属のフレームに覆われた黒い小箱を手にしていました。ああ、髪はやっぱり金髪に近い感じ。オレンジっぽかったかな。こちらはどことなくヴィジュアル系ぽいというか王道っていうか、典型的なゴスのスタイルだった.....かな。好感だったのは表情がヤンキーくさくなかったってこと。時たま表情がコワい人いるでしょう? 眉毛が細すぎたりとか目つきが異常にコワい人とか。そういう感じじゃなくて.........何て言うか.........やっぱり綺麗、って言葉が似合ってる感じ。上品な感じといえばいいのかな。


 逆に思い返してみると、そういえば最近見かけないな〜と思うのがロリィタの人。よくお人形さんみたいな.......ローゼンメイデンみたいな格好をした人を必ず見かけていたのですが、最近見ないです。 白ロリみたいに白一色ってわけじゃなくて、本当に人形みたいな雰囲気の格好です。
 ミュシャ展の時はよく見かけました 。あの時はそもそも客層がものすごい偏ってて、男女の比がいつもだと5:5か4:6くらいなのが、2:8くらいだったもん。しかも普通なら中高年が多めなのに、おもいっきり若年層なんだもん。あれは異常な空間だった。w  なんか絵と同時に鑑賞してた気も..........。シネヨ(# ゚∀゚);y=ー(・ω・)・∴ターン 

 前にも書きましたが、意外だったのはモロー展。魔性の人がたくさんいるのかとちょっとそっちも期待してたのに(ぉぃ、全然居なかったこと。(ゴスパンク風の人ひとり見かけたけど。) 早く見たくて展覧会の開始日に観に行ったのですが、それが平日だったからかも。いつも以上に年配の人達が多かったです。


 .............なんて書くと、人間観察みたいでアレですが、言い分けさせてもらうと、ゴスの人はすごい目立つんですよ! 全身漆黒だし、髪の毛だけ鮮やかだし、もうね50m先からでも目立つくらいなのですよ。あんまりじろじろ見るのもヘンだから長く見てられないですが、素敵だなあといつも思います。 見かけた多くが、ふたり連れだったからかもしれませんが、絶えず笑顔が見られたからそれが良かった....と思います。


 好奇の目で見ているわけではないので、どうか怒らないで下さい。(´・Д・`)  ゴメン
一応撃っておくか。カチャy=ー( ゚д゚)・∵. ターン

 
  
 ちなみに、(ゴスとかではなくて)逆に変な人を見ることも美術館ではまた多く見かけます。こちらは.......敢えて伏せておこう。でも先日のオルセーでは怖い人を見ましたよ。怖いっていっても風貌とかではなくて.......その..........ま、一例くらいならいいか、絶えずぶつぶつ独り言を言っている人がいました。独り言っていっても、普通に人に話しかけている様な声の大きさで、しかも文句を言っている様な言い方で表情も怒ってる。側に来たときはびっくりしましたよ、本当に。しばらく絵の前に居たから邪魔だったのかなと思って、そちらを振り向いてみると、どうも様子が変であちこち向きを変えながら人が居ない方へも話しているから、こ.......これは..........も、ももしかして、xxxxxxxxxxxxxxx。


振り返れば今まで見てきた中で、靴を履かず裸足で見ている人とか、見ている側で勝手に絵について蘊蓄を垂れ始める人とか、有名な絵で人だかりでちっとも動かないところで後の方から「さっさとどけよ〜」みたいな罵声を出すDQNとか...........居たな...............。

 も、もしかして、来る場所を間違えた....かな。((;・д・))ガクブル


もうこれ関係はきりがないです。喋ってばっかりで(しかも絵の内容じゃない。)ろくに絵を見てないおばさんグループとか。(うるさい......)  後から押してきたり割り込んできたり(無茶しすぎ、痛い)、なんかいろんな香水が混じってすごい匂いになってたりとか..........もう勘弁してください。

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オルセー美術館展 19世紀 芸術家たちの楽園

 今日、観に行ってきました。
オルセーと言うと印象派辺りの絵画をメインに所蔵/展示している美術館として、歴史の浅い美術館にも拘らず人気があり有名です。ネームバリューもさることながら、宗教観の無い日本人にとって取っ付きにくい宗教画が全く無い、つまりそれが逆に人気の理由の1つでもある印象派メインの展示でしたので、これは混むだろうなと美術館へ着く前から予感はしていました。

 美術館へ着いたのは9時半過ぎだったのですが、既に入場規制(一定の人数ずつに分けて間隔を空けて入場させる規制)されていて展示入り口から長い列が出来ていました。開館は9時なんですね。入場規制といっても20分も経たないうちに入れましたが、やっぱり中は混んでました。


 今回、気になったことは、展示絵画の位置や順序。大抵、入り口付近の最初の展示絵画は、あまり有名でない...と書くと失礼ですが、そういう場合がほとんどなのですが、今回はいきなり入り口すぐにモリゾ「ゆりかご」とルノワール「ジュリー・マネ」の絵があって驚きました。.....モリゾは.......知らない人もいるかもしれませんが.......個人的には、モネとかルノワールなどと同等....って書くとまたアレですが、引けを取らない絵画だと思っています。モリゾの絵の方が好きなくらい....です。ちなみに女流画家の人です。今回の展示会のマスコット的な扱いになっているマネの絵「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」に描かれている女性も実はモリゾだったりします。(タイトル通りですがw)

 ともかく、作品の展示具合が悪過ぎる気がしました。通路を抜けて次の部屋の一番最初に、とか階段を上ってすぐのところに、とか.....あとはコーナー(隅)にとか、そういう場所に有名な画家の絵が飾られているので、人の流れがすごく悪いんです。前述のマネの絵は階段を上ってすぐのところでした。確かそのフロアの少し先に、ゴッホの「アルルのゴッホの寝室」と「アルルのダンスホール」が並べられていた気がします。そちらはフロアの真ん中だったので見辛くはありませんでしたが、人が溜まり過ぎ。同じ様に不満を口にしていた人が何人もいました。


 絵の方は..........パッと見できれいなものばかりなので、知らない画家の絵でも充分楽しめました。大抵の展覧会だと、........また失礼ですが、「個人的な」当たりとはずれの差が大きいのですが、今回のははずれはほとんどありませんでした。写真とルドンの版画の数が意外に多かったので、その部分は割とざっと目を通しただけで済ませてしまいましたが。

 でも..............いままでそれなりに美術館へ足を運んできて気付いたことは、全てに同じ時間を割いて鑑賞する必要はないのだということでした。もちろんそれなりに有名なものや気に入ったものには、より時間を掛けて眺めていましたが、最近はパッと見て好みじゃなかった絵は本当にざっと目を通しただけで済ませてしまう様になりました。なぜかというと、気に入った絵の記憶が、そうではない絵の記憶によって薄らいでしまうからです。家に帰って思い返した時に、記憶が散漫になってしまって、気に入ったはずなのに思ったほど印象に残ってないなあ?....なんてことが度々あったので、最近はそういう鑑賞をしています。そうでないと時間も掛かってしまうし、疲れてしまうというのもあります。


 全体を見て感じた点は、黒色が多く用いられている絵の良さが際立っていた感じがしました。印象派というと明るい色彩のものが思い浮かびますが、今回のは個人的かもしれませんが、黒色の絵が印象に残りました。なのでゴッホの「アルルのゴッホの寝室」は浮いてた気がします。w  同じゴッホでもとなりにあった「ダンスホール」の方のは、ゴッホらしかぬタッチと色彩でしたし、その点「寝室」の絵は輝いていたとも思います。あぁ...ルノワールのも、後期のでっぷりした裸婦像とかではなくて割と初期のものが多かったのも良かったかも。(後期のルノワールの絵は苦手です。肌フェチがエスカレートした結果の絵って感じで。)


 そんな中..........事前に特に展示作品を調べていなかったので、見た時は吹っ飛びそうになった絵がありました。...........ま、永らく当ブログをお読みの方はお気づきかもしれませんが、モローとロートレック。

 ロートレックの方が先に飾られていたのですが、やっぱり自分の眼には飛び込んでくる絵です。モデルのポーズといいタッチといい、色彩といい、すべてツボです。何がどうしてこんなに惹き付けられるのか.....文章では表現できないのが悔しい...却ってそれこそが絵画とも言えるものなのかもしれないと、偉そうなことを言ってしまいそうな絵です。........他の人はモネとかルノワールの絵にしがみついてロートレックのは素通りしてるけど。.つд`)ウウッ モローもそうでしたが、ミュージアムショップにも全然グッズになってないし。モローのは2つばかりありましたが、ロートレックのは皆無。モローよりはずっと名が通ってる画家なんだけどなあ........。

 逆に近年、モローの評価が高まっていることはそれはそれで嬉しい限りです。
公式サイトにも主な展示作品としてモローのが取り上げられていますし、今回の展示会とリンクした内容だった、今日の「新日曜美術館」の番組内でも取り上げていましたし、ファンとしては超ご満悦。(^∀^)サイコー 
 展示の方も、他の絵と距離を置く様に(そう感じられました)フロアの片隅に、うっすらとした照明に照らされて、目映いオーラを放っていました。通路を抜けた先にあったので、遠くから「ん、あれはもしや!!!!!!!」、近づいて「うお! ガラテアだーーーーー!!!!キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!」って感じでした。 しかも額縁がすごい。あんな額縁は初めて見ました。神殿風の庇と柱が付いた額縁で、まさにモローの絵にぴったり。

 絵自体は知っていたので、解説ガイドなんかは無くても問題なしです。w 画集やらモロー関連本などいろいろ持っていますので。実際、間近で見て気付いたことは..........これは周りで同じく観ていた人も言っていたのですが、ガラテアが身に纏う装飾品が、油彩で描かれているにも拘らず、その細緻なタッチからか、まるで宝石、ビーズのようなキラキラした輝きに見えるんです。装飾部分の絵具による隆起が照明によって照らされることによってキラキラ光る様に見えるのだと思いますが、その辺りはさすがモローといった感じです。前にも書いたと思いますが、モローは1つの作品のために膨大な資料収集をして、ラフスケッチなどをたくさんこなした後に取りかかることが多かった様で、このガラテアも同様に、海草類や珊瑚などのスケッチを事前にいくつも描いていたようです。
 「新日曜美術館」の方で取り上げた際に、絵の両脇に人の顔が描かれているとか指摘していましたが、実際には全然確認できませんでした。絵を見る前に知っていれば分かったかもしれませんが.........それでもどうかな........かなり照明が暗かったし、モローの絵は、一見真っ黒に近い部分でも色々と描き込まれているんですよね。ネット上にある大きなサイズの画像を見るとよくわかります。


 モローとロートレックが見られれば、もうそれだけで満足度100%になってしまうので、今回は満足度180%くらいかも。実を言うと、今回の展示会、行くのをためらっていたんです。有名なのはわかってるけど、印象派のは今までいろいろ見てきたし、好きだけど何が何でも見たい絵っていうわけでもないし.......、それに今回に限ってはちょっと(身体の)調子が悪かったので(先週にたちの悪い風邪を引いてまだひきずっていました)、行くのやめよっかなあ.........って。片道、電車で1時間以上かかるし〜〜って。

 ああ、でもやっぱり神のお導き。(ぉぃ このまま行かずに展示終了後にそんな絵があったと知ったら..........どうなっていたことやら。w


 余談ですが、東京展よりも先に神戸の方で展示されていたんですね。...........それのせいかな.....ここ数ヶ月、「モロー ガラテア」の検索ワードで当ブログに訪れる件数が多いです。.........すみません、全然役に立たないしつまらない文章で。

† 01:15 | コメント (1) | トラックバック | Topへ▲ †

アートとジャズ好きのために....「美の壷」

「美の壷」

NHKでやっている美術番組です。番組サイトを見て知りましたが、今まで「新日曜美術館」の制作に携わったスタッフが手がけた番組なのだそうですね。番組の内容は、「くらしの中の美」というテーマらしいですが、タイトルからも彷彿とさせますがどちらかというと「伝統の和の美」がメインな気がします。「壷」と「ツボ」を掛けている訳ですね。

..........まあ、いささかおっさんくさい...というか比較的年齢層が高めの気がしますが、アートが好きだったらたぶん誰でも楽しめるとお思います。それに加えて、ジャズ好きだったらそれこそ至福の時が過ごせるはずです。

 というのも、番組中流れるBGMがみなジャズばかりだからです。「枯葉」や「What's New」「My foolish Heart」「Blue Moon」「Blue Bossa」.....などのスタンダードなどがぎっしり詰まっています。ミュージシャンも、ビル・エヴァンス、マイルス、ウェス、チャーリー・パーカー、サラ・ヴォーン、オスカー・ピーターソンなどなど.....有名どころばっかり。曲が流れるたびに思わず(^∀^)ニヤリしてしまうはず。w

 再放送は3度も積極的に流しているので、好きな時に見られますし、超オススメ!  第1回からほとんど欠かさず見ています。25分間ですし、小気味良くて良いです。

 
 話は少し変わりますが..........、ここ半年間、密かに....というかモロバレですが、谷崎潤一郎がマイブームです。実は、この番組を見てても今までに数回、谷崎ネタが出ていたり.....と何気にメディアでも偶然にマイブームにリンクしていたりします。 谷崎ネタが出ていたのは......覚えている限りでは、「File26 文豪の装丁」「File24 和の明かり」「File21 蒔絵」に谷崎の「鍵」「陰影礼賛」から引用されていました。......どう考えても「陰影礼賛」を読んだ事のある、もしくは谷崎ファンが制作スタッフの中にまぎれているように思えてしまうのですが....どうなのでしょう。

 そうそう! その美の壷で使われた谷崎の写真が......何気にかっこいいんですよ! かっこいい...といっても60過ぎ位の写真だと思いますが。w 新潮文庫に使われている「狸親父w」とは違っていて、斜めに見下ろした表情がかっこいいんです.......。詳しい人なら知っているのかもしれませんが、何となくその新潮文庫の写真と連続で撮った写真の様な気がします。風貌や服装がそっくりだったので。単にポーズが違うだけなのに......やっっぱり谷崎潤一郎。


 それと、個人的には、アール・ヌーヴォーと明治期の洋館を取り上げた番組が良かった。.....金魚も良かったかな.....。
明治期の洋館では、上野の池之端にある「岩崎邸」を取り上げていました。前に行った事もある、近代建築で好きな建物の1つでしたから、嬉しかったです。


 ......というわけで、最近見たいな..と思わせる美術番組がなかったので、この「美の壷」には満足しています。

(2006/11)

 でも年が明けてから放送時間が変わってしまって、見逃すことが多くなってしまいました。。・゚・(ノД`)・゚・。 録画しておけば済む話では有りますが。

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