Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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豪邸物語

 3月に、「財閥豪邸ものがたり」という番組がありました。
簡単な番組説明はこちら。

 三大財閥といえば.........三井、三菱、住友、四大財閥といえば......安田を加えた財閥のことをよく指しますが、番組内では四大財閥の「豪邸」の紹介を交えて、財閥解体に直面した各財閥一族の顛末を追ったものです。

 実はテレビを付けていてたまたま見た番組です。オープニングを見て、これは録っておけばと即時思った番組です。(くやしい...) なにせ紹介する豪邸のうちの1つ、三菱の創設者の邸宅である岩崎邸には以前自分自身訪れたことがあるので。ああいう近代建築には本当に目がないのです。w

 紹介した通り、邸宅の紹介だけではなく財閥解体のいきさつも盛り込んであるので、個人的には邸宅だけを紹介してほしかったな〜とは思いましたが、今までこれといって知らなかった財閥解体の経緯や財閥そのものについて知ることが出来たので、結果としては満足でした。


 紹介された4つの豪邸のうち、とりわけ三井、三菱の財閥の邸宅は、西洋建築を採り入れた「クラシック」な建築でした。三菱財閥のは先述通り見たことがあるからかもしれませんが、三井のそれはそれを上回る位、重厚かつ豪華な造りで、当時の億万長者の威厳が感じられるものでした。(番組紹介に掲載されている写真がそれです) 内装ももちろん紹介されていたのですが、なんとそこにはロダンの彫像やモネやルノワールの絵画が飾られているのです。........最後にちょこっとだけ紹介されていましたが、なんでも現在では会員制のクラブとして使われているそうです。......会員制ね..........年会費とかすごいんだろうな........。場所は今まで知りませんでしたが案外都心のど真ん中にあるんですね。会員制クラブとして運用されているのだから一般公開はしていないってことか。一般公開しているのは三菱と住友だったかな。安田は公開するために現在清掃中だとか。

 三菱の岩崎邸は、上野の池之端にあります。最近耳にした話によれば、ゴスロリの人達が撮影会の場としてよく使っているとか.......。まあゴスロリに関係無くコスプレ関係全般でも使われている様ですが。前にも岩崎邸へ行ったことは、当雑記でもちょこっと書きましたが、撮影自由ですのでそれはもう大量に撮りました。デザインの参考にもなるものが多かったので。とにかく豪奢で重厚な暖炉や、洒落たシャンデリア、当時としては最新であろうバスタブのあるバスルーム..........。
 そうそう、この番組で初めて知ったことなのですが、岩崎邸には地下へと続く階段があって、残念ながら立ち入り禁止なので番組を見るまではその先に何があるか分からなかったのですが、なんと併設されているビリヤード小屋へと続いていたのでした。「撞球場」と書かれていたと思いますが、ビリヤード小屋、確かにありました。。行った時は中には入れないのでガラス越しでしか確認できませんでしたが、台がきちんと今でも残っていたと思います。

 住友は、もともと大阪の豪商でしたので、邸宅もそちらのほうだったと思います。記憶が定かではありませんが、確か和風の屋敷だったような。三井、三菱に比べてしまうと地味な印象になりがちですが、邸宅よりもその広い日本庭園が素敵でした。..........まあ日本庭園といえば、別の番組で以前、日本庭園についての番組を見たことがあるのですが、その時紹介されていたのは、岩崎小弥太。三菱創設者の岩崎弥太郎の息子。たしか小弥太が作らせた庭園だったと思います。........これって一般公開すれば絶対観光地になるはずだと思える程なのに、一般公開はしていません。広大な敷地に、これまた広い池、築山、灯籠............あれは凄まじいですよ。これがかつての個人の庭園だったと思うと。

 安田財閥は、財閥の中でも後発でしたが急成長を遂げた財閥です。でも........邸宅はかなり地味でした。広くて大きいのでしょうが、豪華さは番組からでは感じられませんでした。安田と言うと、寄付した日比谷公会堂や東大の安田講堂とかが思い浮かびますが、個人的には安田講堂を取り上げてくれた方が良かったかな。番組の主旨からは外れてしまうけど。あれは若干ネオゴシック風でもあるから。早稲田大学なんかもそうだけど........。


 番組では紹介されていませんが、もしこれらに加えたいと思う邸宅としては、かつての皇族であった朝香宮の邸宅であり現在は庭園美術館として利用されている建物。朝香宮自身にどうも芸術を見る目があったようで、当時西欧で流行っていたアールヌーヴォー/アールデコに惹かれ、自邸の設計に際して向こうからわざわざ呼び寄せて作らせた程です。その中には、ルネ・ラリックも含まれており、ちょうど今、庭園美術館では普段公開していない部屋も見られる様になっていて、例えばルネ・ラリックが手掛け貴重なたシャンデリアなども見られる様です。...........以前見に行ったプティパレ展が庭園美術館でしたので見たことありますが、本当に素晴らしいですよ。前にも書いたからくどいですが、何と言うか.........成り金的な趣味ではない感じがあります。バスルームの蛇口などの金具も金色ではなくて銀色だったりしますし、バスルームにオイルヒーターなどもさりげなく置いてあったり、庭園を見渡せる様に作られた、書斎、その机がまた素晴らしく、円形でありながら確か回転出来る様な作りだったような。冬期のための「ウインタールーム」も2階に用意されてあって.......つまり温室ですね、白黒のタイルがまたモダンで。各部屋の壁紙模様も、ウイリアム・モリス風の落ち着いた模様で......賞めればきりがない位素敵です。そういえばこの庭園美術館もコスプレさん達の撮影会の御用達だったりしますね。なんか迷惑な気もするけど。


 番組の話に戻して...........、財閥解体の処理をまかされたのが、同じ財閥である澁澤財閥の当主である渋澤敬三でした。(って番宣そのまんまだw) この渋沢敬三、青淵こと渋沢栄一の孫なんですね。埼玉の深谷出身の人。深谷駅にでかでかと「〜生誕の地....」なんて看板があるけど。w ちなみに、サドの翻訳でも知られる、澁澤龍彦も辿るとこの渋沢家の人なのだとか。うぅ話がまた外れた、とにかく財閥出身の人間が自ら財閥を解体することはそうとう辛かったことでしょうね。安田、住友は早くから解体を承諾した様ですが、三井、三菱はかなり最後まで抵抗した様。w  特に岩崎小弥太はブチ切れ。
 というのもその気持ちは分からなくもないです。財閥出身の者は、会社社長などの役職に就くことを禁じられ、同系列の会社に就くことも一切禁止させられたわけです。おまけに一族が所有している株式の全て没収、邸宅も没収。.............ほとんど今で言う自己破産に近い。(同じ様に自己破産すると役職に就けなくなってしまったり様々な制限を受けることになります) 要するに強制的に破産させられて隠居生活を送らされるわけですから、当人達にしてみれば言うまでもなく理不尽な要求でした。でも、当時、日本を占領していたGHQによる命令ですから従わざるを得ないわけです。結果短い期間で財閥解体は終わりましたが、その後の日本の経済復興に伴い、財閥の中の子会社だった会社が集団化することによって、結果、元の財閥にはならなくともその支配的地位を復活させたわけですね。

とはいっても財閥一族達は、いくら子会社が集団化して復興を果したといっても、一族は役職に就けないわけですし邸宅も没収させられたのですから、本当に辛かったでしょうね。現在の当主が番組に出演していました。三井と三菱の当主だったかな.......。別にごく普通のご老人でした。


 財閥っていうか富豪には何度生まれ変わっても縁が無さそうなので、自分にしてみれば( ・x・)フーンって感じですが、邸宅だけは一般公開してほしいぞ。会員制のクラブだなんて..........ねえ。


(2006/9)
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当然、放送されたのは2006年の3月です。
ちなみに書いた時には番組説明があったのですが年が変わったので無くなってます。w

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