Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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まとめてレポート

 書きそびれていた展示会のレポートをまとめておこうと思います。

ゴッホ展 (東京国立近代美術館)
ラ・トゥール展(国立西洋美術館)
ドレスデン展(国立西洋美術館)


 ゴッホ展とラ・トゥール展は、午前中にゴッホ、午後はラ・トゥール、と同じ日にまとめて見に行ってきました。........ちょうどゴールデンウィークの間に行ってきたので、もう3ヶ月も前になりますね。普段、日本画や日本の画家の絵を展示している、近代美術館でゴッホ展をやるというのが意外でしたが、美術館へたどり着くと.......凄い事になっていました。美術館の敷地内にひしめき合う人だかり。おまけに2階の方まで.........。G.W.期間に来たのが失敗だったとこの時気付きました。(遅かった...。) それで、まずチケットを買うためだけに並ばなくてはいけないのですが、なんと最後尾が2階のテラス。うそだろ〜、って思わず言いたくなる程でしたが、見ないで帰るわけにも行かず仕方無く2階へ昇り並ぶ事に。.........この混み振りは、以前、横浜美術館で見た東山魁夷以上です。.....異常です。20分くらいしてやっと地上に降り立つ事が出来たかと思ったら今度は迷路の様にくねくねと長い列が.........。しかもこの日は日差しが強くかなり暑かったので、じっと待つのがかなり応えました。その間、周りを眺めていたのですが、個人的な推測ですが、日頃、美術や絵画にさほど興味のない人がゴッホというビッグネームに引き寄せられて見に来た....という感じがしました。というのも家族連れがかなり多く、年齢層も偏りなく幅広い感じでしたので。それと.............まあ、周りから聞こえてくる会話を聞く限りでは、あんまり美術への知識がないようだったし.........。だからといってそれが悪いというわけではないですよ。念のため。(第一、自分だってろくに知らないのだし。)

 結局、チケットを買うまで40分くらい掛かったと思います。.........それだけ人がいるという事は当然館内も凄い事になっているわけです。ゴッホ展と名前が付いていますが、もちろん展示全ての絵画がゴッホであるはずがなく、ゴッホメインの後期印象派の展示という具合でした。なので、モネやセザンヌ、などもあるわけなのですが、なぜか.....というか当たり前なのか、ゴッホ以外の絵はみなスルーしてしまうんです。(ゴッホの絵の背後の壁には側に色がつけられていて遠くからでも識別可能でした) セザンヌなどの絵だってめちゃめちゃ素敵なのに..........。その代わり、ゴッホの作品、日本の錦絵を模写したものや、ちょっとしたデッサンまで、どの作品の前も動かない程混んでいるんです。なので、順番はあまり気にせず、空いているところから見る様にしました。

 しかしやっぱりゴッホの作品には本当に素晴らしいものがあるのも確か。展示物の中に、ゴッホが色の組み合わせを考える為に、さまざまな色の毛糸を組み合わせた毛糸玉があったのですが、これが意外でした。それまでゴッホというといかにも天才肌という感じで、色彩等全て感覚でやっているものだと思っていたのですが、そうではないのだそうです。日々、いろいろ試行錯誤していたそうで、あのゴッホ独特の鮮やかな色彩も、考え抜かれたもののようです。 本当は絵具で色彩を試したかった様なのですが、絵具を買うお金がなかったために毛糸で代用したそうです。その残された毛糸玉の色の組み合わせは、まさしく「種まく人」などの絵に描かれているものを同じ。薄紫色と黄色。赤と緑、青とオレンジ、いわゆる補色の関係にある色を組み合わせたものが多かったです。

 展示の中でトリともいえる、「種まく人」、「ひまわり」、「夜のカフェテラス」。確かこの3枚が並んで展示されていたと思いますが、とにかく圧巻。その展示室も超混雑。とにかく補色を意識した色彩の対比が見事で、あのうねるような筆致が間近で見ると本当に迫力があります。思った程、厚く塗られているわけではないのですが、生々しいタッチが拝めるのはやはり展示会ならでは、ですね。
 それらの晩年の作品はもちろん素晴らしいのですが、個人的には初期の、画家になろうと決心した頃に描かれたものも素敵でした。聖書や古靴、かなり暗いトーンで対照的な作品ですが、この重厚さが気に入ってしまいました。タッチも晩年とは異なる感じですが、それとは別に素晴らしい筆致なんです。


ちょうど見に行く前に、テレビでゴッホを取り上げた番組(新日曜美術館)や、BSで、かなり昔のものでしたが、ゴッホの生涯を綴った映画なども見たので予習ばっちりの状態で見られたので、あの混雑ぶりには参りましたが、とても充実した時間を過ごせました。...........ゴッホの生涯を知ってしまうと思わず同情してしまいます。生前に売れた絵はたった1点。耳切りや自殺などは有名ですが、他にもネタが尽きないほどいろいろあったりして、本当、報われない人生だったような気がして悔まれます。今日、沢山の人に愛されていることを知ったら、どう思うのでしょうね。

.............と、いろいろと書きたい事はあるのですがとりあえずこの辺りでやめにしておきます。

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