Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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聖少女 復刊!!

聖少女 / 倉橋由美子

うわ〜〜〜い!!!
復刊だーーーっ!!!

 倉橋由美子の作品は、たくさんあるはずなのにどれも在庫切れで、新刊で手に入れられるのはわずかです。新刊で手に入るものは全て買ってしまいましたが、いまひとつ代表作を読んだという感じがしませんでした。デビュー作の「パルタイ」は幸い新刊で出ていますが、話の内容が少し古く学生運動というものを扱っていることもあって、少し自分には掴みにくい内容でした。もちろん、作者が持つスタイルは十分に感じられましたし、「買って良かった」と思える作品でした。でも、手に入れた作品の多くが、抽象的というよりは幻想的で、SFというと誤解されそうですがどこか空想的な内容を併せ持った感じで、それを構築された精緻な文章で綴られてゆくような、後期の、晩年に近い作品ばかりでしたから、「パルタイ」は少し違和感を感じていました。


 そこで「聖少女」。
初めて倉橋由美子の名前を知ったきっかけの作品です。前にブログで書きましたが、2chの文学版で「美しいと思った題名は」というスレッドに挙げられていました。
 タイトルからxxxxな内容ですが、作品紹介を見ても間違いなくxxxなのでしょう。判型違いの古い紹介文の方では拙いと思ったのか、幾分オブラートに包んで今風の文章に変えているような気がしますが.....................、
それならもっと早く、「援交」(の言葉も含め)が流行ってた時にその見出しで売れば、「パパ」の意味は異なりますが意外に話題になったんじゃないかと思うのですが.................。(でもそういう売れ方は本人は嫌いかもしれませんね。)

 でも、桜庭一樹とかいう人の見出しはいらないかも。若い作家や話題性のある作家による感想が巻末に載っていると、読後にそれを読むとげんなりしてしまいます。何というか.....売名行為の様に思えてしまうし、何より作家だからといって作品を評価するプロとは限らないからです。数ある文学賞.....例えば「芥川賞の受賞作品!!!」......みたいなのには興味が湧きません。なぜならそういう人達による選考だから。倉橋由美子自身が「あたりまえのこと」でも書いていました。それに誰も書いていないものを書こうとするあまり、変態的なのが多すぎて、それも好きになれない理由でもあります。文章にしたって、句読点は多いし日本語の奥ゆかしさが感じ取れないし、がっくりしてしまいます。そんななか、倉橋由美子の作品は、現代的でもありながら構築された文章がとても読み応えがあって、一文一文味わいながら読んでいける.....というのは少し大げさかもしれませんが、少なくとも自分には合っています。


 こんなに素敵な作品をたくさん残しているのに、ほとんどが在庫切れというのは本当に残念です。最近の芥川賞受賞作品なんかを見てると、今の時代の流れというのはああいうルックスが良い若い女性が描く日常を逸脱した世界.......なのかもしれないと思うと、過去を遡れば先人たちの残した作品にもたくさんあるのになあ........とさみしくも思いますが、逆にそれこそが誰にも知られない秘密を手に出来るのだ、とにんまりしてしまうのも事実ではあります。

 話によると来月も倉橋由美子の作品の復刊があるとか耳にしたのですが、これが本当ならば万々歳だーーーーー!!!


 ともかく内容が内容だけに公言しにくいですが、注文しよーっと。

 もし人に倉橋由美子の作品を勧めるとしたら......「よもつひらさか往還」(文庫版)かな。「大人のための怪奇掌編」もおすすめです。
今ちょっとアマゾンのページを見てみましたが「よもつ〜」のレビューのどれひとつも頷ける。本当にそうなのです。ぜひ手に取って欲しいです。


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売れているのかそれともあまり売れないからと元々あまり刷らなかったのか、もう在庫切れです。アマゾンでも3~5週間待ちになってしまいました。まだ発売されて2週間くらいしか経っていないのに.........。はやく増刷してくださいっ!!!!

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